アストンマーティン ヴァンテージ(ASTON MARTIN VANTAGE:2005〜2017)

アストンマーティンの伝統を受け継ぐフロントグリルを採用したV12ヴァンテージ。その佇まいは歴代最高の迫力だった。
アストンマーティンは、1970年代の「V8」からハイパフォーマンスモデルに「優勢、優越した」を意味する「ヴァンテージ(Vantage)」というグレードを設定してきた。あくまでグレード名だったのだが、2005年のフランクフルト モーターショーで発表された同社初の純粋な2シーター「ベビーアストン」は、初めて車名として「ヴァンテージ」が用いられ、独立した車種となった。
プラットフォームはV12を搭載するDB9と共用したが、エンジンはジャガー XK8などに搭載されていたAJV8をベースにアストンマーティン流にチューンして、385psと410Nmにパワーアップした4.3LのV8 DOHCを搭載。公称の最高速は288km/h、0→100km/h加速は4.8秒だった。
2007年には、ヴァンテージにV12エンジンを搭載したコンセプトカー「V12ヴァンテージRS」を発表。これをベースに2年後の2009年のジュネーブモーターショーで“究極のヴァンテージ”と呼ばれたV12ヴァンテージを発表した。6L(正確には5935cc)のV12 DOHCは最高出力426psと最大トルク570Nmというパワースペックを発生し、最高速は305km/h、0→100km/h加速は4.2秒に向上させている。

573ps/620Nmを発生するヴァンテージSの6L V12 DOHCは7速AMTと組み合わされ、街中での渋滞も苦にならない。
“究極”のはずだったV12ヴァンテージだが、2013年にはさらに進化した「V12ヴァンテージS」が発表された。V12エンジンのパワースペックは573psと620Nmにまでアップされ、トランスミッションには軽量化された7速シングルクラッチAMTを組み合わせ、最高速度は330km/hと謳われた。
足まわりには3段階に減衰力を調整し、パワーステアリングの重さも連動して変化するアダプティブダンピングシステムも採用された。エクステリアは、グリル形状を変更してカーボンファイバー製とされた。インテリアにも、シートやドアハンドルなどにカーボンファイバー製のパーツがオプション設定された。当時の車両価格は2239万8000円だった。
長きに渡って生産されたヴァンテージだが、2017年6月に限定モデルのAMRを発表したのを最後に、新世代アストンマーティンの「セカンドセンチュリープラン」第2弾として発表された新型ヴァンテージに後を託した。

ポルシェ 911をライバルに据えた量産モデルとして2005年に登場したV8ヴァンテージは、2013年にはV12ヴァンテージSに進化した。
アストンマーティン V12ヴァンテージS 主要諸元
●全長×全幅×全高:4385×1865×1250mm
●ホイールベース:2600mm
●車両重量:1920kg
●エンジン種類:60度V12 DOHC
●総排気量:5935cc
●最高出力:573ps/6750rpm
●最大トルク:620Nm/5750rpm
●燃料・タンク容量:無鉛プレミアム・80L
●トランスミッション:7速AMT
●駆動方式:トランスアクスル式FR
●タイヤサイズ:前255/35ZR19、後295/35ZR19


