トヨタ クラウン(2013年:14代目フルモデルチェンジ)

高級かつ走りの良いアスリートのイメージを一段と強調し、若いオーナーにも注目されそうなスタイリング。
大胆すぎるフロントマスクや、冗談にもほどがある?ピンクのボディカラーなどで何かと物議をかもしている、14代目となる新型クラウン。
たぶんに戦略性を感じさせる強烈なインパクトは置いておいて、肝心の商品力や走りの実力はどうだろうか?というところを掘り下げてみよう。圧倒的な静けさや快適性という従来のクラウンらしさのみならず、「時代をリードする環境性能とエモーショナルな走り」を標榜するというからには、伝統だけではない新たな「クラウンらしさ」があるはずだ。
環境性能という意味では、ハイブリッドのエンジンが従来の3.5L V6から2.5L 直4になり、JC08モード燃費が23.2km/Lと、コンパクトカー並みになったのが大きなトピックスだ。
カムリ ハイブリッドなどに搭載されるエンジンがベースになってはいるが、共通しているのはブロックぐらいで燃焼室の形状も異なるという。新しい世代の直噴D‐4S、吸・排気側ともにVVT-i、クールドEGRなどを採用し、エンジン単体の熱効率は38.5%と世界最高レベルを誇っている。問題は、クラウンといえば6気筒以上が当たり前だったところに、4気筒で不満は出ないのか?ということだろう。

ハイブリッド車は2.5Lの直4エンジンにモーターを組み合わせた。エンジン車は3.5Lと2.5LのV6を設定。
最大トルク300Nmを発生するモーターの強力なアシストによって、従来の3.5L V6エンジン車以上を実現しているだけに、そのパフォーマンスに関しては文句なし。フル加速は、なかなかの迫力だ。発進時にアクセルを強く踏み込むと、モーター特有のトルクでシートに背中が押しつけられるような感覚がある。
嬉しいのは電子式CVT(電気式無段変速機)のフィーリングが、これまでのトヨタTHS IIよりも格段にスポーティになっていること。CVTは強い加速を求めた場合、エンジン回転数が先に上がって後から速度がついてくる、いわゆる張り付き感が生じることが多いが、このクラウン ハイブリッドはそんなことはない。一般的なATなどと同じように、エンジン回転数と速度が比例して上がっていく。
