走りの質感は各車ともに非の打ち所がない完成度
デザイン面では好対照を成すX3とティグアンだが、試乗した印象は驚くほどよく似ている。それをひとことで表現すれば、スポーティなハンドリングやドライバビリティと快適性を極めて高い次元で両立させたとなるだろう。
今回試乗したのは、X3が2L直4ディーゼルターボエンジンを積む20d xDrive Mスポーツと2L直6ガソリンターボエンジンを積むM50 xDriveの2台。そしてティグアンは1.5L直4ガソリンターボエンジン搭載のeTSI Rラインである。いずれも48Vマイルドハイブリッドを組み合わせて環境対応する点も興味深い。

まずはX3 20dに乗る。マイルドハイブリッドのおかげで始動時にエンジンが身震いしないだけでなく、ボトムエンドからの加速でもレスポンスが良好なうえにパワー感のリニアリティも高く、もはやディーゼルエンジンの痕跡はほとんど見当たらない。それはバイブレーションの点でもエンジン音の面でも同様。ディーゼルとマイルドハイブリッドの相性がいいことを、改めて思い知らされる。
乗り心地の質が高いことも特筆すべきだ。ハーシュネスが軽いのに、しっとりとボディをフラットに保つ点は秀逸。ドライバーに伝わるインフォメーションが豊富で、いつでも正確なハンドリングを示す操縦性にも文句の付けどころがない。
それが、どんな車速域でも、どんなタイプのコーナーでも、同じように反応して破綻をきたすことがない。世の中には、90%の状況で見事な乗り心地やハンドリングを示しても、残り10%のマナーが悪いためにガッカリとさせられる例が少なくないが、新型X3のように100%に限りなく近い状況で洗練された挙動を示すクルマは決して多くない。ここまでの完成度に仕上げるのにどれだけの労力が必要だったか、想像に余りある。
洗練されているという意味ではM50もまったく同じ。それどころか、3L直6ガソリンターボエンジンは381psの大出力を発生するが、それを余裕で受けとめながらこの快適性を実現したことには驚きを隠せない。しかも、最新のX3はストレート6の官能性を余すところなく表現。4000rpm付近からレッドゾーンの始まる6500rpmまで、緻密な鼓動と繊細なエンジンサウンドで乗る者を魅了することだろう。

ティグアンの進化ぶりにも目を見張らされた。もともと快適性では優れた水準にあったティグアンだが、新型はハンドリングのシャープさに磨きを掛けたほか、マイルドハイブリッドを得た1.5Lガソリンターボエンジンのレスポンスも良好で、軽快さがグッと増した。さまざまな条件で破綻をきたさない点もX3に準じる。この完成度の高いSUVが400万円台から手に入るのだから、プレミアムブランドも形無しだ。



