今注目したいトヨタの3台三者三様のモデルが揃う
中でも今、トヨタが面白い。GRヤリス、GRカローラ、そしてレクサスLBXモリゾウRRと、競技目的か否かにかかわらず、3モデルも存在する。当然のことながら基本的なパワートレーン構成を共有しており、互いにまったく独立したモデルではない。
一方でこれほど特殊なパワートレーンを個性の異なる複数モデルに水平展開した例は、バッジエンジニアリングやブロスカーを除いて、かつてなかった。特殊ゆえ水平展開など思いもよらなかっただろうが、だからこそモデルバリエーションを増やして投資を回収するという考え方もあったと思う。
3台に共通する肝腎要のパワートレーンについて先に復習しておこう。いずれのモデルも1.6L直3ターボエンジン(G16E-GTS)+6速MTもしくは8速ATで、電子制御多板クラッチ式スポーツ4WDシステム「GR-FOUR」を搭載する。GRヤリス、GRカローラともに一度目のマイナーチェンジを終えているが、ヤリス版が増強したことで、3モデルのエンジンスペックも晴れて共通(最高出力304ps/最大トルク400Nm)となった。

GRヤリスやGRカローラと共通した1.6L直3インタークーラーターボエンジンを搭載。0→100km/h加速は8速AT、6速MTともに5.2秒を実現する。
まずは2024年、個人的にもっとも秀逸だと思った国産車=レクサスLBXモリゾウRRから。GRヤリスのプラットフォームにコンパクトSUVのスタイルを被せた「小さな高級&高性能車」だ。
ラグジュアリーとハイパフォーマンスをコンパクトに凝縮する。実はありそうでなかったコンセプトで、過去の伝統芸モデルとは一線を画する存在だ。それでいて3ペダル・マニュアルギアボックス仕様も用意する。キャラに合わせて2ペダルのみに割り切った商品企画にしがちだが、あえてMTを残したところが「古くて新しい」。

インパネはスエード調の表皮で覆われ、上質さも表現している。レクサス初の6速MTが設定されたのがモリゾウRRの特徴。
乗ってみればヤンチャなパワートレーンから「ラグジュアリーに必要な高性能」、すなわち低回転域から豊かに伸びる力強さや自然かつ機敏な応答性、高回転域の心地よいエンジンフィールなどが見事に取り出されていて感心する。加えてスタンダードから下げられたドライビングポジションが功を奏して、SUVを走らせているという感覚に良い意味で乏しい。
とにかく街でも峠でも乗っていて楽しいクルマだ。これぞ日本の4WDスポーツというべき仕上がりで、絶大な安心感とともに思いのまま曲がっていける感覚がある。そのうえMTには回す楽しみが、ATには速さを実感する気持ちよさがあった。自分で買うなら、ミッション選びで大いに悩むことだろう。3ペダルと2ペダルで甲乙つけ難いと思うモデルは今も昔も実はさほど多くない。



