バリエーションの豊かさに感服
確かに日本車には豊かな乗り味をシンプルに表現する力が概ね欠けている。そこは歴史と伝統の積み重ねがあるぶん、欧州ブランドの得意なところだろう。何しろ日本メーカーが気になる欧州車をバラし部品ごとにいくら真似て作ってみても、同じ官能性を出すには至らなかった、という都市伝説の類さえあるというのだから・・・。
経験という埋められないギャップを超えんがため、国産ブランドの開発者たちは技術をただひたすら磨き続けるほかなかった。新たなテクノロジーの世界初実装にこだわり、最新技術のショーケースをもって新型車をアピールすることに重きを置いてきたのだ。
フィーリングという主観でクルマを語るのではなく、パフォーマンスという客観で勝負する。今ならさしずめ中国の新興BEVブランドがラップタイム競争に明け暮れていることと同じだろう。国産ブランドもかつてはそうだった。誰にも文句の付けられぬ性能を複雑に組み合わせつつもリーズナブルに実現する力を養って、世界のトップレベルへと躍り出た。とくに性能と相性の良いモータースポーツの世界において・・・。
最たる例がラリー競技参戦を目的にコンパクトで高性能な4WD乗用車というカテゴリーを深掘りし続けて現代に至ること、だろう。4WD乗用車の嚆矢はアウディ、と思われがちだが、そんなことではスバリストに叱られる。世界初の量産4WD乗用車、レオーネを忘れてもらっちゃ困る、と。

ファン・トゥ・ドライブな走りが魅力の一台。トヨタ GR ヤリス RZ ハイパフォーマンス。
四輪駆動×ターボ×MTを数多く輩出してきた日本車
それはともかく1990年代から2000年代にかけて、世界のラリーシーンに活躍の舞台を見出した国産ブランドはこれまで、ホモロゲマシンを含む数々の競技用ベースモデルを輩出してきた。
トヨタ セリカGT-FOUR、日産 パルサーGTI-R、三菱 ランサーエボリューション、スバル インプレッサWRX、スズキ スイフトスポーツ(イグニス)、ダイハツ ストーリアX4など、四輪駆動とマニュアルギアボックスを装備する(もしくは選択できる)スポーツモデルが多く存在した。
F1やル・マン24時間耐久レースなどサーキット活動に勤しんだホンダとマツダを除けばオールジャパンといった様相であり、多くのモデルは今をときめくネオクラシックカーの人気モデルたちでもある。
操る愉快さと力の痛快さ、そしてハイテックで欧州勢に負けないどころか例のないクールジャパンなクルマたち。結果的にユニークなドライブフィールを生み出した3ペダル+4WDのコンパクトな高性能モデル(しかもリーズナブル!)というカテゴリーは、今なお世界が認める日本の伝統芸なのである。

自由自在な4WDは、ドライバーをHappyにする。トヨタ GR カローラ RZ(従来型)



