BMWにとってアルピナは特別な存在であり、逆もまた然りだろう。そんな相互関係がいま、形を変えようとしている。BMWグループの1ブランドになることが決まったアルピナ、そんな今を飾るラストであり新たなモデルがB3 GTである。ドイツ・ブッフローエ工場から送り出される最後の逸品は、どんな世界を我々に見せてくれるのだろうか。(Motor Magazine2025年6月号より/文:大谷達也、写真:永元秀和)
端々に見える、アルピナである証
アルピナ・ブランドが、創業家であるボーフェンジーペン・ファミリーの元を離れ、BMWグループの一員になるというニュースが届いたのは2022年のこと。そして2024年はアルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン有限/合資会社で「伝統的なアルピナ」が生産される、最後の年となった。長年親しんできたアルピナが消えてしまうことに、言葉では言い尽くせないほどの喪失感を覚える。
そんなファンの心を気づかってか、アルピナの最後を飾るに相応しいふたつのモデルが誕生した。ひとつは今回試乗したB3 GT、もう1台は4シリーズをベースとしたB4 GTである。

アルピナ伝統のボディサイドのデコラインはGT専用の「オロ・テクニコ」カラーで仕上げられる。
いずれも既存のB3/B4のマイナーチェンジ版という位置づけだが、最高出力は従来型の495psから529psへと増強。ボディ、サスペンション、エアロダイナミクスなどにもGT専用の改良が施されているという。
B3 GTで市街地を走り始める。率直にいって、デビュー当時のB3に比べて路面からのゴツゴツした感触がよりストレートに伝わってくるように思えた。私の記憶に間違いがなければ、B3のほうがよりしなやかで、路面の凹凸などほとんど意識させない滑らかな乗り心地だったはずだ。
もっとも、これはあくまでもアルピナ内での比較論。M3に比べればはるかに快適だし、500ps台のスポーツサルーンでB3 GTより良好な乗り心地のモデルを探すのは至難の業だろう。



