2012年2月、マツダから初代のCX-5が登場した。内外装のデザインに新しいテーマ「魂動(こどう)」が採用され、SKYACTIVと呼ばれる新世代技術が投入された意欲作だった。この初代CX-5はたちまち人気モデルとなったが、その秘密はどこにあったのか。ここでは関東近郊に続いて鹿児島で開催された試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2012年6月号より)

▶▶▶初代マツダCX-5【画像7枚】

吹け上がりが軽快なのも気持ちが良いディーゼルユニット

目下、販売絶好調のマツダCX-5だが、マツダとしては、まだまだアピールしたいポイントはたくさんあるということなのだろう。関東近郊に続いて今度は鹿児島にて、改めてプレス向け試乗会が開催された。ここ鹿児島は良質なワインディングロードの宝庫。短時間ではなく、じっくりと長距離のドライブで、その実力のさらに奥深くに迫ってみることにした。 

改めて対面したCX-5は、まずその佇まいで魅了してくる。複雑なラインが描かれたボディサイドなど、造形の力もあるのだろうが、何より大きいのはその内側の骨格、すなわちパッケージングの力に違いない。前後オーバーハングの短縮とロングホイールベース化によってタイヤを車体の四隅に配した力強いスタンスが、すべての基本。遠目に見たシルエットだけでも、期待が募ってくる。

実際に室内に乗り込むと、自然なドライビングポジションに嬉しくさせられる。前輪が前に移動したことで足元に余裕が生まれ、ペダル類を適正な場所に配置できたことが、そのポイント。オルガン式アクセルペダルの採用も、この空間設計あってこそだ。

では走りっぷりはどうか。最初に乗ったクリーンディーゼルSKYACTIV-D 2.2を積む「XD Lパッケージ 4WD」は、やはりそのエンジンに印象が支配される。アイドリング時こそ若干カラカラという音を発するものの、不快感とは無縁。アクセルペダルを踏み込めば、低回転域から濃密なトルクが420Nmもあり、それが2000rpmで発生されるのだから、ディーゼル未経験の人は、きっと仰け反るに違いない。圧縮比が14.0と低い分、吹け上がりが軽快なのも気持ちが良い。これならステアリングホイールにシフトパドルが欲しくなる。

画像: SKYACTIV-D 2.2(2L直4ディーゼル)は2000rpmから最大トルク420Nmを発生。

SKYACTIV-D 2.2(2L直4ディーゼル)は2000rpmから最大トルク420Nmを発生。

フットワークも上々だ。19インチタイヤは見た目にはやり過ぎかなと思えたが、実はトレッドの幅は17インチと同じ225サイズということもあり、鈍重さとは無縁。ステアリング操作に対して素直にクルマが動いてくれる。

踏めば応える大トルクに、意のままになるフットワークによって、ワインディングロードでは、まさに水を得た魚だ。どこから踏んでも即座に速度を乗せられ、思いどおりのラインを容易にトレースできる。限界も高いが、それより過渡特性が良く、唐突な動きが出る予感がしないのが良い。

現行プレマシーあたりから、マツダの走りは大きく変化してきている。これみよがしな鋭さではなく、自在に動く気持ち良さが追求されているのだ。この方向性、支持したい。

こうした変化が如実に効いているのが高速巡航時のフィーリングだ。ステアリングホイールの中立位置がしっかり出ていること、サスペンションのジオメトリー変化が最小限に抑えられていて、まっすぐ走らせたい時にはぴったりまっすぐ走ってくれる。しかもクリーンディーゼルの大トルクは、道のうねりや凹凸もモノともせず、アクセル一定でずっと走っていられる。これはラクだし、何より気持ちが良い。

積極的にギア選択ができるシフトパドルが欲しくなる

続いてはガソリンエンジンのSKYACTIV-G 2.0を積む「20S」に乗る。こちらの最大トルクは196Nmとディーゼルの半分しかないだけに、走り出す前は正直、相当物足りないのではないかと危惧していた。

しかし、こちらも決して悪くない。吹け上がりは非常にスムーズ。日本向けはレギュラー仕様とするため圧縮比を抑えられているが、それでも13.0である。全体にパンチがあって、アクセルペダルを踏み込むと力感を伴ったレスポンスが返ってくる。

SKYACTIV-DRIVEと名付けられた6速ATも、ダイレクトなレスポンスにひと役買っている。もちろん絶対的なトルクはそれなりだから、昇り勾配などではもどかしい思いをすることもある。こちらも、やはりシフトパドルが欲しい。

画像: 丸型3連メーターなどスポーティな雰囲気を漂わせるインテリア。水平基調のインパネ上部にはソフト素材を採用。

丸型3連メーターなどスポーティな雰囲気を漂わせるインテリア。水平基調のインパネ上部にはソフト素材を採用。

17インチタイヤのフットワークは、ステアリングフィールが甘く繊細なコントロールがやりにくかった。乗り心地も19インチの方が良いぐらい。ガソリンモデルにその設定がないのは、やはり残念と言うべきだろう。

駆け足で印象を記してきたが、このCX-5、奇をてらわずに基本となる部分がしっかり作り込まれている。走りや運転操作に関わるすべてが自然で、正確性に富んでいて、余計なことをせず、とても良い感触なのだ。長距離でも疲れ知らずで走りに没頭できる。鹿児島の道は、その価値をたっぷりと味わわせてくれた。

欲を言えば、すべてにおいてクオリティにはもっとこだわってほしい。ボディの塗装の質感や、インテリア細部の詰め。走りでは、乗り心地のしなやかさや各部の当たりのしっとりとした上質感がもっと追求されてもいい。

そんな期待を抱くのは、もちろんその資質を買っているからだ。CX-5、会心の一作と言ってもいいと思う。(文:島下泰久)

マツダ CX-5 XD Lパッケージ 4WD 主要諸元

●全長×全幅×全高:4540×1840×1705mm
●ホイールベース:2700mm 
●車両重量:1610kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●排気量:2188cc
●最高出力:129kW(175ps)/4500rpm 
●最大トルク:420Nm(42.8kgm)/2000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格(税込):279万円(2012年当時)

マツダ CX-5 20S 主要諸元

●全長×全幅×全高:4540×1840×1705mm
●ホイールベース:2700mm 
●車両重量:1440kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1997cc
●最高出力:114kW(155ps)/6000rpm 
●最大トルク:196Nm(20.0kgm)/4000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FF
●車両価格(税込):220万円(2012年当時)

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