レクサスが3月16日に発表・発売した新型ラグジュアリークーペ「LC500/500h」が好調だ。わずか1カ月で1800台の受注を獲得したというから驚く。ベースグレードで1300万円からという超高級車、しかもクーペという非常に趣味性の高いクルマだけに、正直これほどの反響があるとは思っていなかった。そんなLCが誕生する聖地=組み立て工場に足を踏み入れることができた。今回はその模様をお伝えしようと思う。
画像: 塗装工程を終えたLCのボディは、LC専用の組み立て工場に台車で運び込まれてくる。

塗装工程を終えたLCのボディは、LC専用の組み立て工場に台車で運び込まれてくる。

LCの組み立てラインは、トヨタ初の乗用車量産工場として1959年に立ち上がった元町工場の一角にあった。いわゆる混流生産ではなく、完全にLCのために独立した建屋が用意されている。日産わずか48台という少量生産のクルマにしては贅沢な「工房」だ。建物の外観こそ、それなりの歴史を感じさせるが、中に入るとその印象は一変する。フロアも壁も真っ白で、天井からの採光も広く取られている。とにかく明るく、清潔感にあふれている。

画像: 各工程には「匠」と呼ばれる熟練スタッフがついており作業のクオリティに目を光らせている。

各工程には「匠」と呼ばれる熟練スタッフがついており作業のクオリティに目を光らせている。

まず、アッセンブリーラインの様子が今まで見てきた製造ラインとは大きく異なる。クルマの生産工場と言えば、ベルトコンベヤーに乗って、作業員が手際よく次から次へとバトンを渡すように部品を取り付けていくのがふつうだ。ところがLCの組み立てラインでは、ひとりの作業員が1台あたり20分もかけて、複数の作業をこなしていく。量産車ではひとり当たりの作業時間は1台あたり1分間だというから、その違いは歴然だ。だからと言って楽をしているわけではない。作業時間20倍ということは、覚える作業も20倍ということでもある。現在、このLCのラインには179名の作業員が働いているが、全員、研修を受講している。また各作業は、タブレットを活用して確認が行われる。さらに、各工程には「匠」と呼ばれる熟練スタッフが目を光らせている。従来の工法にとらわれない作り込みが行われていた。

画像: 完成したLCは、アッセンブリーラインに併設された検査ラインで静的な品質チェックが行われる。床下からも光を当てて、わずかな傷や歪みも見逃さない。

完成したLCは、アッセンブリーラインに併設された検査ラインで静的な品質チェックが行われる。床下からも光を当てて、わずかな傷や歪みも見逃さない。

完成したLCはアッセンブリーラインに隣接した検査ラインで、静的な品質確認が行われる。厚いガラスで囲われた検査ラインでは、上方向、左右方向からはもちろん、床下からも照明が当てられており、わずかな歪みや傷さえ見逃されることはない。またドアの開閉を初めパワーアシストの作動音などもチェックされており、LCにふさわしいクオリティのチェックが念入りに行われていた。

「製品でなく作品として作り込む」。関係者のこのひと言に、この新しいアッセンブリーラインを考案した意図がわかる。クルマ作りが変わっていく…LCから始まった新世代レクサスのクルマづくりは、工業製品の枠を超え、新たな価値を生み出そうとする創造力に満ちあふれていた。

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