新型スープラの誕生を記念して、日本ではセリカXXと呼ばれたモデルからの系譜を振りかえってみたい。今回は、1986年に発表された初代スープラだ。(ホリデーオート2019年2月号より)

トヨタ2000GTの正統な後継を謳った「3000GT」誕生

画像: リアコンビランプのデザインは前期型と後期型で異なる。オプションのリアスポイラーを装着していないモデルは珍しい。

リアコンビランプのデザインは前期型と後期型で異なる。オプションのリアスポイラーを装着していないモデルは珍しい。

2代目セリカXXは高性能エンジンを搭載するものの、ベースのシャシはセリカ。やはりハイパワーの本格スポーツを謳うには限界があった。

画像: ボンネット先端のエンブレムは、XXからSUPRAへ。

ボンネット先端のエンブレムは、XXからSUPRAへ。

そこで次世代モデルでは、エンジンとともにシャシもソアラと共有する。当然、価格帯も上昇するわけで、セリカという名前と決別する必要があった。こうして次なるモデルは、輸出名を拝借したスープラとしてデビューする。

画像: 2代目XX同様、ヘッドランプはリトラクタブルの角形2灯式が採用されていた。

2代目XX同様、ヘッドランプはリトラクタブルの角形2灯式が採用されていた。

1986年2月に発表された初代(北米では3代目になる)A70スープラは、ソアラ同様の6気筒専用モデルとなったことで、スタイルに制約がなくなり大きくイメージを変えた。

ロングノーズはさらに強調され、丸みを帯びたスタイルはミニ・アメリカンスペシャリティといった様相。車両重量は1.5トンに迫り、コーナリングマシンというより直線番長的GTカーと呼ぶほうがふさわしい。

画像: 販売の主流だった2Lツインターボの1G-GTEU型エンジン。ヘッドの上に通る2本のパイプがツインターボの証し。

販売の主流だった2Lツインターボの1G-GTEU型エンジン。ヘッドの上に通る2本のパイプがツインターボの証し。

この性格は採用されたエンジンからも察せられる。2L SOHCとDOHCの自然吸気版も用意されたが、主役は2L DOHCツインターボ。また先代の2代目セリカXXでは2.8L の自然吸気だったトップグレードは3Lターボに切り替えられた。

2Lツインターボは185ps、3Lターボは230psに達し、パワースペックはライバルのZ31型フェアレディZと肩を並べた。

画像: 前期型の内装色はバーガンディ。ステアリングスポークにはオートドライブのスイッチが備わる。

前期型の内装色はバーガンディ。ステアリングスポークにはオートドライブのスイッチが備わる。

88年のマイナーチェンジで3ナンバー車がワイドボディに切り替わると、翌年にはツインターボにもワイドボディを新設定。90年には3Lエンジンを廃止して2.5Lツインターボが登場。280㎰エンジンによりピュアスポーツカーへ生まれ変わった。

画像: パノラミックデジタルメーターは速度や回転計、水温計や油圧計だけでなく、ブーストやTEMSまで表示する。

パノラミックデジタルメーターは速度や回転計、水温計や油圧計だけでなく、ブーストやTEMSまで表示する。

画像: 電子制御サスペンションのTEMSは、ATノブ手前のボタンで切り替えが可能だ。

電子制御サスペンションのTEMSは、ATノブ手前のボタンで切り替えが可能だ。

デビュー当初からすっかり性格を変えたスープラの姿からは、時代の移り変わりを感じることができる。

大きく豪華で華やかな存在だったデビュー当時。ところがレースでは強敵フォード・シエラに勝てなかった結果、後期型は一気にスポーツ性を強めることになる。

画像: スライドと前後端調整を電動にした8ウエイパワースポーツシート。

スライドと前後端調整を電動にした8ウエイパワースポーツシート。

画像: リアシートは子ども用と割り切るべき。それでも乗車定員は5名だった。

リアシートは子ども用と割り切るべき。それでも乗車定員は5名だった。

88年に限定販売された「ターボA」がまさにそれだが、レースでは出自が仇となる。大きく重いボディは、いかにハイパワーエンジンを搭載しても戦闘力不足。そう考えると、A70スープラの真価は、やはりここで紹介している前期モデルにあるように思える。(文:増田 満、写真:伊藤嘉啓)

■スープラ2.0GTツインターボ(1986年) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4620×1690×1310mm
●ホイールベース:2595mm
●重量:1440kg<1460kg>
●エンジン型式・種類:1G-GTEU・直6DOHCツインターボ
●排気量:1988cc
●最高出力:185ps
●最大トルク:24.5kgm
●10モード燃費:9.9km/L<8.8km/L>
●トランスミッション:5速MT<4速AT>
●タイヤサイズ:205/60R15
●当時価格:295万9000円(エレクトロニクス仕様)<305万8000円(同)>
※< >内は4速AT車

画像: セリカXXとスープラについては、ホリデーオート2019年2月号にも掲載されています。

セリカXXとスープラについては、ホリデーオート2019年2月号にも掲載されています。

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