さらに進化を遂げたエボVIII。エボVIII MRもラインアップ
2003年には、エボVIIを改良したランサーエボリューションVIIIが登場した。新たに三菱のチーフデザイナーとなったオリビエ・ブーレイが提唱した富士山型デザインのグリルが採用されたが、デザイン的にはともかくラジエターへのエア導入低下を招いたこともあり、不評を招いたのは否めない。

通称「ブーレイ顔」と呼ばれたフロントマスクは、コンサバな三菱ファンからは好まれなかった。
ただ、パワースペックに関しては確実に向上した。エンジン最高出力は280psと変わらなかったが、最大トルクは当時のWRCに参戦するグループNマシンに匹敵する40kgmを発生。この数値は当時の国内トップクラスの性能だ。

ランエボVIIIでは、徹底的な空力特性の見直しによって、車体の裏側の設計にもこだわりがある。空気の流れを邪魔する余計な突起物を設けないようにしている。
駆動系では、GSRにはS-AWC(スーパーオールホイールコントロール)を実現するため、リアデフに従来のベベルギア式デフから、遊星ギアを使用したスーパーAYCも搭載。
トランスミッションも6速MTを採用したが、モータースポーツベース車のRSでは5速MT仕様も選択可能で、国内競技ではスーパークロスギアを採用した5速MT仕様が選択できた。

ACD+AYC+スポーツABSのオールホイールコントロール(AWC)に、スーパーAYCを採用。後輪左右のトルク移動量を50%増大させ、旋回性能とトラクション性能を同時に向上させた新時代の4WDとなった。
04年にはマイナーチェンジされて、エボVIII MRも発売された。MRは「ミツビシ・レーシング」の略で、アルミルーフを採用するなど、より戦闘力を高めたマシンとして評価された。

熟成されたACD(アクティブ・センターデフ)やアルミルーフの採用により、確実にパフォーマンスが向上したMR。クルマの質感にこだわったモデルだった。
ランサーエボリューションVIII(2003年) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4490×1770×1450mm
●ホイールベース:2625mm
●車重:1400(1360/1310)kg
●エンジン型式・種類:4G63インタークーラーターボ・DOHC[16V]直列4気筒
●排気量:1997cc
●最高出力:280ps/6500rpm
●最大トルク:40.8(40.0)kgm/3500rpm
※( )内はRS

ランサーエボリューションの進化は、ホリデーオート2019年1月号でも紹介しています。