1961~70年は、日本の近代スポーツカーが飛躍的に進化した10年だった。この時代に矢継ぎ早に投入された新型スポーツカーは、まさに日本の自動車技術の進化の歴史と言っていい。そんな飛躍の10年を彩った珠玉のマシンを振り返ってみる。6回目は、日産 フェアレディZだ。

「Datsun」の名を世界に轟かせたフェアレディZ。432や240ZGの効果も大きい。

「日産 フェアレディZ(S30型 1969年10月発表)。1969年10月、前回この項で紹介したダットサン・フェアレディの後継モデルとして登場したのが、日産 フェアレディZだ。

当時、北米市場ではポルシェ911の価格は6000ドル超だったが、フェアレディZは約3600ドルで互角の性能が買えるという謳い文句でライバルに挑む。その圧倒的なコストバリューで一気に市場を席巻した。

画像: 「432」とは「4バルブ、3キャブレター、ツインカム」を意味するグレード名だった。

「432」とは「4バルブ、3キャブレター、ツインカム」を意味するグレード名だった。

日本では「フェアレデイZ」だが、北米を中心とした海外試乗では「Datsun 240Z」といったダットサンと排気量の組み合わせによる車名で、「Z-Car(ズィーカー)」などと呼ばれて親しまれた。

画像: スポーツカーに必要な要素をすべて備えた機能美あふれるコクピットは、古典的だが古臭くはない。Zが今もなお人気がある理由のひとつだ。

スポーツカーに必要な要素をすべて備えた機能美あふれるコクピットは、古典的だが古臭くはない。Zが今もなお人気がある理由のひとつだ。

シャシは新設計だがエンジンはL型を使うなど価格を抑える設計努力の結果だが、先行発売された日本でもロングノーズのスタイリングや4輪ストラットの操安性の良さから大人気になった。

画像: Z432に搭載されたS20型。国内最強を誇ったが、Zでは駆動系の振動などの問題が出て、71年からは追加されたL24に主力の座を譲ることになる。

Z432に搭載されたS20型。国内最強を誇ったが、Zでは駆動系の振動などの問題が出て、71年からは追加されたL24に主力の座を譲ることになる。

スカイラインGT-Rのに搭載されたS20型エンジンを移植された国内専用の432や、Gノーズとオーバーフェンダーを装着していた240ZGといったモデルを投入した効果も大きかった。ただし、240ZGの登場は1971年なので、「60年代の国産スポーツカー」ではないのだが…。

画像: L24型エンジンを搭載し、独特のGノーズ(正式名称はエアロダイナノーズ)とオーバーフェンダーを純正装着した24ZG。

L24型エンジンを搭載し、独特のGノーズ(正式名称はエアロダイナノーズ)とオーバーフェンダーを純正装着した24ZG。

フェアレディZ432(1969年) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4115×1630×1290mm
●ホイールベース:2305mm
●車両重量:1040kg
●エンジン・型式:直6DOHC・S20
●排気量:1989cc
●最高出力/最大トルク:160ps/18.0kgm
●サスペンション前/後:ストラット
●発売時価格:185万円

画像: 60年代の国産スポーツカーについては、ホリデーオート2019年2月号で紹介しています。

60年代の国産スポーツカーについては、ホリデーオート2019年2月号で紹介しています。

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