1961~70年は、日本の近代スポーツカーが飛躍的に進化した10年だった。この時代に矢継ぎ早に投入された新型スポーツカーは、まさに日本の自動車技術の進化の歴史と言っていい。そんな飛躍の10年を彩った珠玉のマシンを振り返ってみる。今回は、前回紹介したトヨタ 1600GTの後継的な存在のマークII GSSだ。
レース用のターボエンジン開発車としても貢献したマークII GSS
「コロナマークII HT 1900GSS(RT75型 1969年9月発表)」
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リアフェンダー前のユニークなオーナメントがGSSの証だった。
1968年、コロナを発展させたモデルとして登場した「コロナマークII」。コロナが取れて単に「マークII」と呼ばれるのは、84年に登場した5代目からになる。
69年9月、そんな初代コロナマークIIのハードトップに高性能バージョンの「GSS」が追加された。前回紹介したトヨタ 1600GTの後継モデル的な存在とは言われているが、レース用と言うよりは本格GTを模索した1台だった。
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8R型にヤマハ製DOHCヘッドを架装した10R型は9.7の圧縮比とソレックス2連装で140psを発生した。
エンジンは1.9L OHVの8R型のヘッドを、トヨタ 2000GTの3M型や1600GTの9R型と同様に、ヤマハ発動機がDOHC化した10R型を搭載。このエンジンは後に8R-Gと名称を変更。さらに2Lの18R-Gへと発展し、多くのトヨタ「GT」モデルに搭載されることになる。
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インテリアは他のモデルとあまり変わらず、スポーティさはさほど感じられない。
レースでは8R型搭載車がターボエンジンの開発ベースとなり、1971年の鈴鹿1000kmレースで「マークII-XR」としてデビューする。最高出力は200ps以上で、鈴鹿の直線でポルシェ・カレラ6を音もなく抜き去り、速さの一端を示した。
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マークIIGSSは、2代目にも2000GSSとなってラインアップされた。
コロナマークII HT 1900 GSS(1969年) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4295×1605×1385mm
●ホイールベース:2510mm
●車両重量:1050kg
●エンジン・型式:直4DOHC・10R(8R- G)
●排気量:1858cc
●最高出力/最大トルク:140ps/17.0kgm
●サスペンション前/後:ダブルウイッシュボーン/リーフリジッド
●発売時価格:106万2000円
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1960年代の国産スポーツカーについては、ホリデーオート2019年2月号でも紹介しています。