新しい元号が「令和」に決まり、いよいよ平成が終わろうとしているが、この時代に誕生した記憶にとどめておきたいスポーツカーたちを、図鑑風に紹介していこう。今回は、スバルの貴重なスペシャルティクーペ、アルシオーネ SVXだ。

フラット6とVTDー4WDがもたらす道を選ばぬクルーズ性能

「スバル・アルシオーネ SVX(CXD型:1991年9月発売)」

画像: ジウジアーロの手になる美しいクーペボディはCd値=0.29を誇った。

ジウジアーロの手になる美しいクーペボディはCd値=0.29を誇った。

1985年1月のデトロイトモーターショーで発表されたスバル XTクーペ。これが「アルシオーネ」として同年6月に日本で発売された。

ウエッジの効いた独特のスタイリングだったが、残念ながら日本でも欧米でも人気を得られず、わずか4年でフェードアウトする。

画像: グラスtoグラスのラウンドキャノピーで覆われたキャビンは豪華そのもの。上級グレードは本革シートが標準だった。

グラスtoグラスのラウンドキャノピーで覆われたキャビンは豪華そのもの。上級グレードは本革シートが標準だった。

それから約4年半後の91年9月、スバルの新たなフラッグシップとしてアルシオーネ SVXがデビューする。海外ではSVX(Subaru Vehicle X の略)のみの車名で、アルシオーネは付けられなかった。

イタルデザインのジウジアーロが手がけた3ナンバーのクーペボディは、Cd値=0.29という高い空力性能を達成した。全体がガラスとフレームだけで構成されるキャビンが特徴的で、サイドウインドーは一部だけが開閉するミッドフレームウインドーを日本車で初めて採用していた。

画像: アルシオーネより500ccアップされた3318ccのフラット6。4速ATと組み合わせ、ゆったりしたロングクルーズを可能にした。

アルシオーネより500ccアップされた3318ccのフラット6。4速ATと組み合わせ、ゆったりしたロングクルーズを可能にした。

パワーユニットは、3.3Lの水平対向6気筒DOHC。駆動方式はスバル得意の4WDだが、システムは不等&可変トルク配分のVTD-4WDを採用。さらに操縦性と高速安定性の両立を狙った4WSも採用して話題となった。

上級グレードのバージョンLは、フルオートエアコンやクルーズコントロール、本革シートを標準装備する。

独特のクーペスタイルにハイメカニズムは評判だったが、当時の日本はバブル経済崩壊期で販売的には成功せず、96年11月には生産を終了した。

画像: サイドウインドーは一部だけが開閉するミッドフレームウインドーを日本車で初めて採用した。

サイドウインドーは一部だけが開閉するミッドフレームウインドーを日本車で初めて採用した。

アルシオーネ SVX バージョンL(1991年)主要諸元

●全長×全幅×全高:4625×1770×1300mm
●ホイールベース:2610mm
●重量:1620kg
●エンジン型式・種類:EG33型・水平対向6 DOHC
●排気量:3318cc
●最高出力:240ps/6000rpm
●最大トルク:31.5kgm/4800rpm
●トランスミッション:4速AT
●タイヤサイズ:225/50R16
●価格:399万5000円

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