日本を代表する乗用車といえば、まずトヨタ クラウンの名が思い浮かぶのではないだろうか。初代が登場してから、2020年の1月で65年になる。そこで、初代から現行型まで歴代のクラウンの軌跡を振りかえってみよう。今回は、10代目のJZS150/UZS150系を紹介する。

新エンジンの投入はなかったが、新機構で安全性能を高める

■JZS150/UZS150系(1995年8月〜)

1995年(平成7年)、クラウンは誕生から40年の節目を迎えた。その年の8月、記念すべき10代目のJZS150系クラウンがベールを脱いだ。まずクラウンの王道を貫く4ドアハードトップ(HT)のロイヤルシリーズと上級のポジションを与えられたマジェスタが生まれ変わった。4ドアセダンは4カ月遅れて同年の12月に新型となっている。

画像: クラウンの外観は、一見してクラウンでわかることが最優先されるが、マジェスタは比較的自由度が高い。押し出しの強いフロントグリルはエンジンフードと一体でデザインされた。

クラウンの外観は、一見してクラウンでわかることが最優先されるが、マジェスタは比較的自由度が高い。押し出しの強いフロントグリルはエンジンフードと一体でデザインされた。

エクステリアとインテリアは、クラウンらしさを前面に押し出したデザインだ。日本の美意識に思いを馳せ、尊重しながらオリジナリティを追及した。エース格の4ドアハードトップ(HT)のロイヤルシリーズは、スラントしたフロントに角型ヘッドランプ、伝統となった横長のリアコンビランプなど、ひと目でクラウンとわかるトラディショナルなデザインだが、9代目よりも躍動感あふれる伸びやかなフォルムだ。ボディはわずかにサイズアップし、ホイールベースは50mm延びた。そのためキャビンは広く、快適性も向上している。

注目すべきは、四半世紀7代にわたってこだわり続けてきたペリメーターフレームと訣別したことだ。10代目クラウンはマジェスタとプラットフォームを共用し、フルモノコックボディを身にまとった。この結果、サスペンションは4輪ダブルウイッシュボーン、ステアリングもラック&ピニオン式になる。

画像: マジェスタのリアエンドは初代クラウンを彷彿とさせる、縦長のリアコンビランプとフィン状のデザインで話題を呼んだ。

マジェスタのリアエンドは初代クラウンを彷彿とさせる、縦長のリアコンビランプとフィン状のデザインで話題を呼んだ。

マジェスタも、初めてフルモデルチェンジされた。ホイールベースはロイヤルシリーズと同じ2730mmだが、エクステリアのテイストはまったく異なる。ストレート基調のダイナミックな造形で、リアコンビランプは初代クラウン以来の縦型デザインだ。ネオクラシック調デザインでステータス性をアピールした。

インテリアも高級な仕立てだ。インパネはなだらかな山形デザインで、その脇に大きなセンタークラスターとコンソールボックスをつなげた。メーターはアナログが標準だが、マジェスタとロイヤルシリーズの上級モデルにはデジタル表示のスペースビジョンメーターを採用する。

画像: インパネはロイヤルと共通のデザインだが、マジェスタにはスペースビジョンメーターとホログラムヘッドアップディスプレイが標準装備された。

インパネはロイヤルと共通のデザインだが、マジェスタにはスペースビジョンメーターとホログラムヘッドアップディスプレイが標準装備された。

ロイヤルシリーズのパワーユニットはキャリーオーバーだが、2997ccの2JZ‐GE型 直6DOHCは連続可変バルブタイミング機構のVVT‐iを採用して実用域のトルクを太らせた。下に2491ccの1JZ‐GE型と1998cc ハイメカツインカムの1G‐FE型を設定している。また、2446ccの2L‐TE型 直4ディーゼルターボもラインアップした。

マジェスタは3968ccの1UZ‐FE型 V8DOHCと2JZ‐GE型 直6DOHCを積む。トランスミッションは4速ATと5速ATを用意している。またマジェスタは先進のホログラムヘッドアップディスプレイやGPSボイスナビゲーション付きEMV(エレクトロ・マルチビジョン)などを積極的に導入した。安全で快適な走りの実現にも真剣に取り組み、挙動安定制御のVSCや国際水準の衝突安全ボディを採用する。

画像: ロイヤルシリーズのスラントしたフロントマスクには、クラウンらしい存在感のある立派なフロントグリルを配置。サイドはガラスエリアを広くしたキャビンとボディのセミフラッシュ構成により近代的な印象を演出している。

ロイヤルシリーズのスラントしたフロントマスクには、クラウンらしい存在感のある立派なフロントグリルを配置。サイドはガラスエリアを広くしたキャビンとボディのセミフラッシュ構成により近代的な印象を演出している。

クラウン 4ドアHT マジェスタCタイプ(1995年)主要諸元

●全長×全幅×全高:4900×1795×1420mm
●ホイールベース:2780mm
●重量:1620kg
●エンジン型式・種類:1UZ-FE型・V8 DOHC
●排気量:3968cc
●最高出力:265ps/5400rpm
●最大トルク:37.0kgm/4600rpm
●トランスミッション:4速フロアAT
●タイヤサイズ:215/60R16
●価格:492万円

クラウンの軌跡バックナンバー

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