1980年代のクルマといえば、ハイソカー、街道レーサー、そしてボーイズレーサーが人気を博していた。この連載では、ボーイズレーサーと呼ばれた高性能でコンパクトなハッチバックやクーペたちを紹介していこう。今回は「3代目ミラージュ(C53A)」だ。

三菱 ミラージュ CYBORG(C53A型・1987年10月発売)

画像: フロントまわりは、ほぼ同時期にデビューしたギャランと共通のイメージでまとめられていた。

フロントまわりは、ほぼ同時期にデビューしたギャランと共通のイメージでまとめられていた。

1987年(昭和62年)10月、ミラージュは3代目へとフルモデルチェンジを果たした。デザインは先代から一新、フロントまわりはミラージュより4日遅れて発表された兄貴分のギャランと共通のイメージでまとめられていた。先代と同じく主力は3ドア ハッチバックだが、「ロングウェイビングルーフ」と呼ばれる、当時人気を誇っていたシビックとも雰囲気の似たロングルーフのスタイリングとなった。

さらにユニークだったのは、SWIFT(スイフト)/CYBORG(サイボーグ)/FABIO(ファビオ)/XYVYX(ザイビクス)と、同じボディながら4つの個性的なバリエーション展開を行ったこと。正確にはTという廉価グレードも存在した5バリエーションだったが、これはほとんど商用で個人ユースは無視した存在だった。普通に乗るなら1.5Lのスイフト、女性を意識したファビオ、ユニークな2シーターのザイビクスとラインアップは豊富だが、ボーイズレーサーと呼べるのはサイボーグだろう。

画像: 大径の2眼ホワイトメーターはサイボーグ専用アイテム。タコメーターのレッドゾーンは7500rpmから。

大径の2眼ホワイトメーターはサイボーグ専用アイテム。タコメーターのレッドゾーンは7500rpmから。

中でも最強モデルは、サイボーグの16V-Tだ。新開発のサイクロン エンジンは、往年の名車ギャランGTO MR以来久しぶりの1.6L 直4DOHC16バルブにインタークーラーとターボを装着し、当時としては1.6Lクラストップの最高出力145ps/6000rpm(ネット)と最大トルク21.0kgm/2500rpmを発生している。なお、サイボーグにはノンターボの同エンジンを搭載した16Vも設定され、こちらのパワースペックは125ps/14.0kgmであった。

サイボーグ 16V-Tは、シャープな操縦安定性とゆとりのある高速ツーリングを両立させるために、フロントのスタビライザーと前後のショックアブソーバーの両特性を同時に可変できる、世界初のデュアルモード サスペンションを採用している。ハイパワーな走りに対応するため、ブレーキは4輪ディスク(フロントはベンチレーテッド)、タイヤは195/60R14を装着していた。

画像: 当時クラス最強の145ps/21.0kgmを誇った4G61型サイクロン ターボエンジン。

当時クラス最強の145ps/21.0kgmを誇った4G61型サイクロン ターボエンジン。

走りっぷりは圧巻で、2000回転代後半からターボが効き始めるとエンジンは燃料カットが働く7700rpmまでストレスなく回っていく。サスペンションは街中では少し硬さを感じるものの、ワインディングでは適度にロールして良く粘る。とはいえ、ハイパワーなFFゆえ足回りに対しエンジンパワーが勝っているタイプだ。普通に走っている分には素直で扱いやすく十分速いが、ひとたびそのパワーにまかせてよりハードな走りを目指すと、乗り手を選ぶジャジャ馬的な側面を覗かせてきた。

画像: 3代目ミラージュのハッチバックは3ドアのみ。1988年に4ドアセダンが追加され、また5ドアセダン版がランサーとして発売された。

3代目ミラージュのハッチバックは3ドアのみ。1988年に4ドアセダンが追加され、また5ドアセダン版がランサーとして発売された。

ボーイズレーサー伝

三菱 ミラージュ CYBORG DOHC 16V-T(1987年)主要諸元

●全長×全幅×全高:3950×1670×1380mm
●ホイールベース:2385mm
●重量:1000kg
●エンジン型式・種類:4G61型・直4 DOHCターボ
●排気量:1595cc
●最高出力:145ps/6000rpm(ネット)
●最大トルク:21.0kgm/2500rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:195/60R14
●価格:167万円

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