昭和は遠くなりにけり・・・か。以前に連載した「昭和の名車」では、紹介しきれなかったクルマはまだ数多くある。そこで、1960年代以降の隠れた名車を順次紹介していこう。今回は「ホンダ プレリュード(3代目)」だ。

ホンダ プレリュード(3代目/BA5型):昭和62年(1987年)4月発売

画像: リトラクタブル式ヘッドランプや端正な2ドアクーペのスタイルは、先代から引き継がれた。

リトラクタブル式ヘッドランプや端正な2ドアクーペのスタイルは、先代から引き継がれた。

FFスペシャリティカーとしての地位を築いてきたホンダ プレリュード。2代目もALB(ABS)の装着やDOHCエンジンの搭載車の追加で話題となったが、3代目はより洗練されたスタイルとともに、世界初の舵角応動タイプ ホンダ4輪操舵システム(4WS)や4輪ダブルウイッシュボーン サスペンションを採用したことで話題となった。

2.0Siのエンジンは、B20A型と呼ばれる2Lの直4 DOHCで先代と同一ながら、パワーアップやレスポンス向上を実現するために、18度後傾したエンジンレイアウトを採用していた。こうすることで吸排気系を抵抗の少ないストレートな形状にすることができ、効率をアップした。さらに各部の軽量化とフリクションロスの低減も図っている。パワースペックは最高出力が145ps/6000rpm、最大トルクが17.8kgm/4500rpm(いずれもネット値)となり、ホンダらしい一気に高回転まで吹け上がる特性を実現したのは見事だった。

画像: 先代と基本的には同じエンジンだが、搭載方法や軽量化などのリファインが行われている。

先代と基本的には同じエンジンだが、搭載方法や軽量化などのリファインが行われている。

トランスミッションは、5速MTのほかに変速やロックアップのタイミング及び領域をコンピュータが制御するフル電子制御2ウエイ4速オートマチック(デュアルモード・ロックアップ付き)を搭載した。これはドライバーの好みでノーマルとスポーツの2種類の変速パターンを選択できるという、当時としては先進的なもので軽快な走りに寄与していた。加速時だけでなく、減速時もロックアップすることで、燃費の向上も図ったのもポイントだ。

サスペンションも新設計の4輪ダブルウイッシュボーンとなった。とくにリアが先代のストラットからダブルウイッシュボーンに変更となったのは、前記した4WS採用と関わりが深い。これはハンドルを操作する量に応じて、後輪を前輪と同方向及び前輪と逆方向に操舵するというシステムだ。高速走行時はレーンチェンジなど小さな舵角の使用頻度が多いため、後輪を同方向(同位相)に操舵。また、狭い道や車庫入れなど低速で小回りが必要なときは、大きな舵角が使用されるため、後輪を前輪と逆方向(逆位相)に操舵することにより、俊敏で安定した操縦性能と高い小回り性能を両立させている。

画像: 当時のホンダ車に共通のシンプルで機能的なインパネ。ミッションはATも設定された。

当時のホンダ車に共通のシンプルで機能的なインパネ。ミッションはATも設定された。

つまり、後輪にも前輪と同じく操舵するということから4輪ダブルウイッシュボーンの選択でもあったわけだ。実際、当時の評価はなかなか高く、他メーカーでもシステムは違うものの追随するクルマも現れ、4WSはスタンダード化する機運もあった。

ブレーキシステムには新4輪アンチロックブレーキ(3チャンネル・デジタル制御A.L.B.)を設定した。先代からさらに緻密な制御をさせてロックを防ぎ、最後の最後までステアリングの効きを確保している。

ロー&ワイドなスタイリングやリトラクタブルヘッドライトが生み出したスタイリングも見るからに走りの良さを感じさせるもので、ホンダがこのクルマの走りに込めた意気込みが伝わってくる。ただ、時代はバブルを背景とした軽佻浮薄な雰囲気もあり、どちらかというとナンパなイメージのクルマとなっていたのは、プレリュードにとって不幸だったかもしれない。

画像: リアビューも先代のイメージを踏襲しており、スペシャリティカーとしての人気は相変わらず高かった。

リアビューも先代のイメージを踏襲しており、スペシャリティカーとしての人気は相変わらず高かった。

昭和の名車のバックナンバー

ホンダ プレリュード 2.0Si 主要諸元

●全長×全幅×全高:4460×1695×1295mm
●ホイールベース:2565mm
●重量:1130kg
●エンジン型式・種類:B20A型・直4 DOHC
●排気量:1958cc
●最高出力:145ps/6000rpm(ネット)
●最大トルク:17.8kgm/4500rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:195/60R14
●価格:222万5000円

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