クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第97回は「マクラーレン 570GT」だ。

マクラーレン 570GT(2016年-)

画像: フロントまわりは、570Sとあまり変わらない。サイズもほぼ同じだが、グラスルーフを装備している。

フロントまわりは、570Sとあまり変わらない。サイズもほぼ同じだが、グラスルーフを装備している。

マクラーレン オートモーティブは、そのスーパースポーツカーのラインアップを、3つのシリーズで展開する。最初のスーパースポーツカー、F1から始まり、SLRマクラーレンP1へと繋がる究極の「アルティメットシリーズ」。MP4-12C650といった中核モデルを展開する「スーパーシリーズ」。そしてエントリーモデルによる「スポーツシリーズ」として、まず570Sが2015年のニューヨーク モーターショーで発表された。

続く上海 モーターショーでは、スポーツシリーズの第2弾として540Cが発表された。いずれも基本的なスタイルはP1からの流れを汲むものだが、フロントまわりやボディサイドのエアインテークなどの形状が少し異なる。サイズ的には、650とほぼ変わらない。搭載されるパワーユニットも排気量は650と同じ3799ccのV8ツインターボだが、最高出力は車名のとおり570Sは570ps、540Cは540psにデチューンされ、トランスミッションはいずれも7速DCT。最大の違いはサスペンションで、スーパーシリーズ以上では油圧制御のアクティブサスを採用しているが、スポーツシリーズではオーソドックスな可変ダンパーのダブルウイッシュボーン式となっている。

2016年のジュネーブ モーターショーで、マクラーレンはスポーツシリーズのニューモデル「570GT」をワールドプレミアさせた。570Sがベースだが、車名が示すようにグランドツーリングカー的な性格が与えられたモデルだ。全長は540Cや570Sと変わらないのだが、リアセクションをファストバックスタイルにしてガラスハッチを備え、ツーリングデッキと呼ばれるラゲッジスペースを設けられたことが特徴的。ガラスハッチは使い勝手を考えて右ヒンジで横に開く。車重は570Sより40kg近く重い。

画像: ツーリングデッキと呼ばれるリアのラゲッジスペース容量は220L。アクセスしやすいように横開きのグラスハッチも装備。

ツーリングデッキと呼ばれるリアのラゲッジスペース容量は220L。アクセスしやすいように横開きのグラスハッチも装備。

ツーリングデッキ部分はエンジンの上になる(したがって普段はエンジン本体を見ることはできない)ので、容量はあまり大きくはないが、それでも220Lのスペースがあり、フロントトランクの150Lと合わせれば、2人の小旅行くらいの荷物なら問題なく積むことができた。

また570Sと比べて、ステアリングのレシオをマイルドにしたり、サスペンションのセッティングも若干乗り心地重視に改められている。とはいえ、最高出力570psと最大トルク600Nmというパワースペックに変わりはないし、最高速度は328km/h(570Sと同じ)、0→100km/h加速は3.4秒(570Sは3.2秒)というパフォーマンスも十分なものといえるだろう。

GTといえども、マクラーレンのスポーツカーとしての基本的資質は変わらない。このスピリットは、のちのグランドツアラー モデルにも引き継がれていく。

画像: リアはファストバック形状とされ、大型のグラスハッチが特徴的。LEDのリアコンビランプの形状は540Cや570Sと変わらない。

リアはファストバック形状とされ、大型のグラスハッチが特徴的。LEDのリアコンビランプの形状は540Cや570Sと変わらない。

マクラーレン 570GT 主要諸元

●全長×全幅×全高:4530×2095×1201mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1350kg
●エンジン種類:90度V8 DOHCツインターボ
●排気量:3799cc
●最高出力:570ps/7500rpm
●最大トルク:600Nm/5000-6500rpm
●燃料タンク容量:72L
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●トランスミッション:7速DCT
●タイヤサイズ:前225/35ZR19、後285/35ZR19
●当時の価格:2752万7000円

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