クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第98回は「フェラーリ GTC4ルッソ」だ。

フェラーリ GTC4ルッソ(2016年-)

画像: フロントフェンダーのアウトレット、リアクオーターウインドーの形状など、FFとは細部がけっこう異なるが並べて比べないと分かりにくい。

フロントフェンダーのアウトレット、リアクオーターウインドーの形状など、FFとは細部がけっこう異なるが並べて比べないと分かりにくい。

2011年にフェラーリが初めて送り出したシューティングブレークのFFは、2016年のジュネーブ モーターショーでワールドプレミアされた「GTC4ルッソ」へと代替わりを果たす。GTCとはフェラーリが1960年代のモデルに採用していたネーミングの1つであり、ルッソ(Lusso)とはイタリア語で「豪華な」というような意味。英語のラグジュアリー(Luxury)に近い意味の言葉だ。代替わりとはいえ、実質的にはビッグマイナーチェンジのレベルであったが、ネーミングはガラリと変えた。やはり、「フェラーリ フォーと読む」とはいえ、FFでは前輪駆動のイメージが強く、フェラーリを名乗るクルマには不似合いな車名だったのかもしれない。

GTC4ルッソのエクステリアデザインは、FFと大きくは変わらない。ヘッドランプやフロントグリルの形状、テールランプの数(丸型2灯から4灯になった)、フロントフェンダーのアウトレット、リアクオーターウインドーの形状など、並べて比べれば違う点は多いのだが、基本のボディスタイルは変わっていない。

エンジンも、6.3L(正確には6262cc)と排気量も同じ65度のV型12気筒 DOHCだが、パワースペックは最高出力が690ps、最大トルクが697psにパワーアップされていた。4WDのシステムも継承され、さらに後輪を操舵する4WS機構も付け加えられた。

画像: GTC4ルッソTは、カリフォルニアTのものと基本的に同じ3.9LのV8ツインターボをさらにパワーアップ。ミッションは7速のF1 DCT。

GTC4ルッソTは、カリフォルニアTのものと基本的に同じ3.9LのV8ツインターボをさらにパワーアップ。ミッションは7速のF1 DCT。

2016年のパリ モーターショーで、フェラーリはGTC4ルッソに新たなモデルを追加する。その名は「GTC4ルッソT」。Tはターボチャージャーを意味し、クーペカブリオレのカリフォルニアTに搭載されていた3.9L(正確には3855cc)のV型8気筒 DOHCツインターボをパワーユニットにチョイスした。パワースペックは、最高出力が610ps、最大トルクが760Nmと、カリフォルニアTのものより50psと5Nmパワーアップされていた。公称のパフォーマンスは、最高速度が320km/h以上、0→100km/h加速が3.5秒。

組み合わされるミッションは7速のF1 DCTで、駆動方式はV12版とは異なり後輪のみを駆動するFRとされていた。これによって車重はV12版より50kgほど軽くなり、前後重量配分も前46:後54となった。V12版の4WSは採用され、コーナリング進入時には同位相でステアされることで、軽快なハンドリングを楽しむことができる。

しかも、大人4人が快適に過ごすことができる室内と、450Lの容量を誇るラゲッジスペースに変わりはない。雪道を走る機会はほとんどないからRWDで十分というなら、可変ブーストマネージメントを採用したターボエンジンはトルクフルで扱いやすいし、しかも燃費はV12より約30%も良い。フェラーリ GTC4ルッソTは、ファミリーカー的にも使えるスーパーカーだった。

画像: テールランプはFFの丸型2灯から伝統の丸型4灯になった。グラスルーフも設定されていた。

テールランプはFFの丸型2灯から伝統の丸型4灯になった。グラスルーフも設定されていた。

フェラーリ GTC4ルッソT 主要諸元

●全長×全幅×全高:4922×1980×1383mm
●ホイールベース:2990mm
●車両重量:1865kg
●エンジン種類:90度V8 DOHCツインターボ
●排気量:3855cc
●最高出力:610ps/7500rpm
●最大トルク:760Nm/3000-5250rpm
●燃料タンク容量:91L
●駆動方式:トランスアクスル式FR
●トランスミッション:7速DCT
●タイヤサイズ:前245/35ZR20、後295/35ZR20
●当時の価格:2970万円

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