クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。いよいよ最終回となる第133回は「GR スーパースポーツ」だ。

GR スーパースポーツ(2022年?)

画像: 2018年の東京オートサロンでお披露目されたGR スーパースポーツ コンセプト。後ろにテストカーのノーズが見える。

2018年の東京オートサロンでお披露目されたGR スーパースポーツ コンセプト。後ろにテストカーのノーズが見える。

2018年初頭の東京オートサロンで、トヨタ GAZOOレーシングは、FIA世界耐久選手権(WEC)で鍛えられたハイブリッド技術を生かしたコンセプトカー「GR スーパースポーツ コンセプト」とその「テストカー」を世界初公開した。しかも、このクルマは単なるコンセプトカーではなく、これをベースにした次世代スーパースポーツカーを製作し、販売するとアナウンスされたのだった。

コンセプトカーの基本コンポーネンツは、2018・19年のル・マン24時間を連覇し、WECでも数多くの勝利を上げているレーシング プロトタイプ「TS050 HYBRID(ハイブリッド)」と同じもので構成されている。現段階で発表されているスペックは、リアにミッドシップ搭載されるパワーユニットは、排気量が2400ccのV型6気筒 直噴エンジンにターボチャージャーを2基装着し、トヨタハイブリッドシステム・レーシング(THSーR)を組み合わせたハイブリッドを採用。

エンジン+ハイブリッドモーターによるパワーユニットの最高出力は、1000ps(735kW)に達するという。タイヤとホイールのサイズは、前後とも330/710R18のタイヤに18×13Jのホイールを組み合わせる。外寸や、これ以上のパワースペック、公称のパフォーマンスなどは発表されていない。

コンセプトカーと同時に展示されていた「テストカー」はボディカウルのないカーボンファイバー製のモノコックシャシでTS050と同様の足まわりに、パワーユニットはカーボンファイバー製パネルに覆われて見えなかったが、排気系の一部が垣間見えた。THS-Rを採用しているとなれば、エンジンとモーターで後輪を駆動し、別のモーターで前輪を駆動する、いわゆるe-4WDを採用しているはずだ。

画像: ほとんどレーシングカーのようなテストカーのコクピット。市販車では、居住性も考慮されたラグジュアリーなものになるはず。

ほとんどレーシングカーのようなテストカーのコクピット。市販車では、居住性も考慮されたラグジュアリーなものになるはず。

トヨタ GAZOOレーシングでは、このGR スーパースポーツをベースにしたレーシングカーを開発し、2021シーズンから開催予定のWEC「LMH(ル・マン・ハイパーカー)」での参戦を目指している。

市販車両をベースにしたスポーツカーをつくるのではなく、レースやラリーで培われたノウハウをフィードバックして、さまざまな制約の中で、いかに市販車両に落とし込むことができるか。現役のレーシングカーからスポーツカーを創り出すという、いかにもトヨタ GAZOOレーシングらしいクルマづくりが進められている。

レーシングカーに近い大胆なスタイリングは、日本の公道を走るための車両保安基準によって、もう少しマイルドなものにされるかもしれない。インテリアも、トヨタらしくスポーツカーといえども安全&快適装備も充実させるはずだ。既にプロトタイプは、富士スピードウェイをはじめ各地でテスト走行を行っている。市販車両の発表時期は2022年度中、価格は8000万円とも2〜3億円とも噂されているが、すべては未定だ。

だが、日本初のハイパースポーツカーをトヨタ GAZOOレーシングが開発しており、近い将来に市販されることは間違いない(しかも、限定モデルではなくカタログモデルになるらしい!)。実車を見られる日が1日でも早く来ることを、心待ちにせずにはいられない。

画像: リアセクションにはル・マン プロトタイプのような垂直フィンも装着されている。後方視界用にはカメラも装着されるだろう。

リアセクションにはル・マン プロトタイプのような垂直フィンも装着されている。後方視界用にはカメラも装着されるだろう。

※「スーパーカー年代記」は、今回で終了します。ご愛読ありがとうございました。

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