大ヒットモデル マカンシリーズに「GTS」が加わり、ラインナップが完成した。このモデルは価格的にはマカンSとマカンターボの間を埋めるポジションだが、それだけではなく実力と人気も相当に高い。(Motor Magazine 2020年12月号より)
低回転から大トルクを発生走り出しから動きは軽快
ステアリングホイール右側、インパネから生えたシルバーのノブを捻ってエンジンを始動する。安易にプッシュボタン式に流れないのはポルシェのこだわり。始動直後に過剰な吠え声を上げることもなくV6エンジンは粛々と回り始めた。7速DCT(PDK)をDレンジに入れて走り出す。
ポルシェのV6エンジンは、2基のツインスクロールターボチャージャーを含む排気系をバンクの内側に置くセンターターボレイアウトを採用している。他ブランドではホットインサイドとも呼ばれるこの方式は、タービンに至るまでの排気経路を短くできるためレスポンスに優れるのが特徴。
実際の走行フィールは低速域からアクセルのつきが抜群に良い。520Nmという大トルクを1750rpmという低い回転域から発生させ、走り出しから2トン近い車重を意識させない軽やかな所作を楽しませてくれた。
さらに、これはGTSだけではないが、7速DCTのマナーの良さはいつ乗っても印象的だ。クラッチのミートのさせ方を入念にチューニングしているのだろう、低速域でもギクシャクするようなことは皆無で、トルクコンバーター式ATと比べても遜色のない滑らかな乗り味を実現していた。