サーキットより街乗りで感じたGTS 4.0の個性と魅力
すでにポルトガルで開催された国際試乗会でのファーストコンタクトを終え、サーキットドライブは経験済み。それゆえ、その走りの印象が痛快そのものであることは理解ができていた。それにしても改めて日本の地でドライブしたGTS4.0の印象は、何とも「期待以上にゴキゲン」と言えるものであった。
すでに幾度となく確認済みであった事柄ながら、右ハンドル仕様でもドライビングポジションはパーフェクト。率直なところ、もはやこうなると、この国であえて左ハンドルモデルに乗ることは「危険で不便」以外の何物でもないと思えてしまうほどだ。
同時に、少々混雑した街中を走ってみると、小気味の良いスタート時のクラッチミートの感触すら心地良く感じる。ショートシフター採用によるちょっと硬めながらストロークが短くカチッと剛性感に富んだシフトフィールと、思いのほか軽く操作感に優れるクラッチペダルのタッチ、そして4Lという大排気量ゆえのアイドリング回転近辺からのトルクの太さなどが絶妙にマッチしていることに気付かされる。
ポルシェ車に限らず数あるMT車の中にあっても、「これほどまでにクラッチミートが心地良い」と思わせるモデルには、なかなかお目に掛かれないのである。
さらに、これはGTS4.0モデルに限らないが、こうした街乗りシーンでの好印象には、現行ボクスター/ケイマンが持つ元来の視界の良さも影響をしている。とくにドライバー側ドアミラー周辺の「抜け」の良さと、パッセンジャー側ダッシュボード上面の低さは出色。このあたりがよく見えないと、とくに街乗りシーンでは無用なストレスを強要されることになってしまうからだ。
たとえ1000rpm付近からでも、不快なこもり音を伴ったりせずに「快適加速」が行えるのも、4Lエンジンの成せる業。望んだとしても急加速など行いようもない常用の場面では、1→2→4→6速といった「飛ばしのシフト」も楽々と行えるのだから、ストレスフリーであることこの上なし。
ただし、減速時に車速ゼロを待たずして作動するアイドリングストップ機構だけは、とくにそこからの再加速時などに鬱陶しく好感は抱けなかった。クルージングシーンでのこもり音を伴う3気筒運転をカットする機能と兼用のアイドリングストップ停止ボタンを、思わず押したくなる衝動に度々駆られることとなったことを告白しておこう。