718ケイマン&ボクスターに「GTS 4.0」というモデルが追加設定された。先に登場した同じ自然吸気ボクサー6を搭載する718ケイマンGT4&718スパイダーとはどこが違うのか? どちらも試乗している河村康彦レポーターがGTS 4.0の真価を検証する。(Motor Magazine 2020年12月号より)

718GT4系と違って、快適なツーリングが楽しめる

と、このあたりまでの動力性能に関する印象は、すでに経験済みだった718GT4のそれと「何ら変わる部分はない」と言ってもいいもの。だが、一方で「日常使いをするならばやはりこちらで決まりだナ!」と思わされたのは、しなやかさで圧倒的に勝るフットワークのテイストと、対障害角の大きさだった。

共に20インチと同径のシューズを履くにもかかわらず、そのメイクスとサスペンションセッティングの違いによって、路面のおうとつや継ぎ目に対するあたり感はGTS4.0の方がはるかに優しい。

通常の車止めとして用いられる縁石に対してさえも気を遣う必要に迫られる718GT4に比べると、GTS4.0はさすがはカタログモデルだけあって、ベーシックなケイマン/ボクスターと同様の気持ちで縁石や段差へと接近をして行くことができる。これは、とくに街乗りシーンでの実用面で大きなアドバンテージだと感じられる。

画像: サテンブラック塗装となる10本スポークタイプの20インチ718スポーツホイールを標準装備。(718ケイマンGTS4.0)

サテンブラック塗装となる10本スポークタイプの20インチ718スポーツホイールを標準装備。(718ケイマンGTS4.0)

クーペゆえボディの剛性感がボクスターを圧倒するケイマンでは、オープンボディのボクスターに対してわずかながらも無駄な動きが抑制され、さらに高いフラット感が提供される。こうして、ストイックに走りの機能が優先されたケイマンを選ぶか、オープンエアモータリングという飛び切りのプレゼントがアドオンされるボクスターを選択するか、このあたりはまさに「お好み次第でどちらでも」という印象だ。

というわけで、日常的な使い方にフォーカスをした場合、当然718GT4に対するアドバンテージが大きく感じられるGTS4.0だが、その気になってアクセルペダルを深く踏み込めば、0→100km/h加速タイムが4.5秒という怒涛の加速力、4気筒ユニットではどうやっても表現が不可能な、回転数の高まりと共に透明度を増して行く官能的サウンドを聞かせてくれるという二面性が固有の魅力を提供してくれることになるのもまたこのモデルならではの特徴だ。

燃費や騒音、その他さまざまな規制が次々と押し寄せ、「純エンジンを搭載するスポーツカーも、いつまで生きていける?」と問われる今の時代、一度は諦めかけた自然吸気のフラット6を搭載し、実際にそうした記号に負けることのないGTS4.0の名が与えられたケイマンとボクスターは、往年のポルシェファンにとっても、そして何よりも「私的」にも、大本命のモデルであることは間違いないのである。(文:河村康彦)

画像: 試乗車はオプションとなるハイグロス仕上げのブラック塗装カレラスポーツホイールを装着。(718ボクスターGTS4.0)

試乗車はオプションとなるハイグロス仕上げのブラック塗装カレラスポーツホイールを装着。(718ボクスターGTS4.0)

■ポルシェ718ケイマンGTS4.0主要諸元

●全長×全幅×全高=4405×1800×1285mm
●ホイールベース=2475mm
●車両重量=1480kg
●エンジン= 対6DOHC
●総排気量=3995cc
●最高出力=400ps/7000rpm
●最大トルク=420Nm/5000-6500rpm
●駆動方式=MR
●トランスミッション=6速MT
●車両価格(税込)=1101万円

■ポルシェ718ボクスターGTS4.0主要諸元

●全長×全幅×全高=4390×1800×1270mm
●ホイールベース=2475mm
●車両重量=1480kg
●エンジン= 対6DOHC
●総排気量=3995cc
●最高出力=400ps/7000rpm
●最大トルク=420Nm/5000-6500rpm
●駆動方式=MR
●トランスミッション=6速MT
●車両価格(税込)=1140万円

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