1968年に誕生したトヨタ ハイラックスは50年以上の歴史を持ち、世界180以上の国と地域で生産されるグローバルカーだ。日本で販売されているハイラックスのボディタイプはピックアップトラックの1種類だが、海外に目を向けると、仕向け地に合わせた多くの仕様が存在する。そんな世界のハイラックスをご紹介する。

ここまで乗用仕様を紹介してきたが、実用的な商用仕様も紹介していこう。ハイラックスの仕様には大きく分けて2種類ある。それがピックアップとキャブシャシーだ。ピックアップは乗用車の後席よりうしろに荷台を備えた車種を意味し、日本仕様は乗用車寄りのトラックだ。そのためか、日本ではレジャーユースとして購入される比率がとても高い。

一方のキャブシャシーは本来なら荷台のない、キャブとシャシーだけの車種を意味する。ハイラックスの場合、オーストラリアの「ワークメイト(Workmate)」という仕様がキャブシャシーを名乗っている。キャブ後部にはピックアップの荷台よりもさらに簡素な荷台が備えられ、いかにも作業車といった外観だ。

オーストラリアのハイラックスの中でもベーシックグレードにあたり、最も廉価な仕様ではシングルキャブ、2.7L直4ガソリン、後輪駆動、5速MT、鉄ホイールを備え、車両価格も2万3590オーストラリアドル(日本円で約180万円)におさえられている。後部座席がなく、キャブのすぐ後ろにまで荷台が伸びているので、荷台長は世界のハイラックスの中でも最長クラスだ。

ちなみにWorkmateにはピックアップ仕様もあり、ダブルキャブながら前述の後輪駆動や5速MTも選択できる。車両本体価格は3万3070オーストラリアドル(同、約250万円)とこちらも日本仕様より安く、ドレスアップ目的には最適の1台だろう。

画像: シングルキャビンに簡易的な荷台を装着、また鉄ホイールや無塗装バンパーの採用などにより車両価格を抑えられたベーシックグレード「ワークメイト」。オーストラリアをはじめとする市場でカタログモデルとして販売されている。

シングルキャビンに簡易的な荷台を装着、また鉄ホイールや無塗装バンパーの採用などにより車両価格を抑えられたベーシックグレード「ワークメイト」。オーストラリアをはじめとする市場でカタログモデルとして販売されている。

世界のハイラックスでキャブシャシーは簡易な荷台を備えた仕様だと前述したが、実はブラジルでは本当にキャブとシャシーだけのモデルが販売されている。その仕様の名称「Cabin e chassi」はポルトガル語で、日本語に直訳すると「キャビンとシャシー」というあまりにもストレートなネーミング。シングルキャブだけが設置されており、荷台のない架装ベース車がカタログモデルになっているのだ。

ドライブトレーンはSR-GIIにも搭載される2.8L直4ディーゼルターボで、スペックは177ps/3400rpm、42.8kgm/1600−2600rpmを発揮する。ハイラックスのキャラクターを考えれば、主な用途はモーターハウスやキャンピングカーだろう。日本で販売されているトラックベースのキャンピングカーは、トヨタ ダイナをベースとするカムロードのキャンピングカー専用キャビンシャシーを用意されている。ハイラックスのキャブシャシーが加われば、キャンピングカーベースとして高いニーズを得るかもしれない。(文:猪俣義久)

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