1974年にデビュー以来、コンパクトFF車のベンチマークであり続けるフォルクスワーゲン ゴルフ。日本でも間もなく8代目となる新型が発表されるが、その前に初代から現行型までのゴルフを振り返ってみたい。第3回は初代ゴルフに追加されたホットモデル、GTIについて語ろう。

いまでもゴルフの看板モデルとなっている「GTI」とは?

画像: 初代ゴルフ GTIのイラスト。特徴が説明されているが、4灯式になったのは後期モデルだった。

初代ゴルフ GTIのイラスト。特徴が説明されているが、4灯式になったのは後期モデルだった。

ゴルフ GTIとは、1976年に追加された高出力仕様のモデルだ。1974年に誕生した初代ゴルフは、小さいボディサイズでも既存の中型車と同程度の広い室内をもつ、いわゆるクラスレスの自動車として評価された。クラスレスというのは、各メーカーがこの頃相次いで開発した2ボックスFF車がみな持ち合わせていた資質で、1959年に誕生したミニはその最たるものだった。ただゴルフはその完成度が高かったので、それらの中でも、ベンチマーク的存在となった。

このゴルフに、高性能エンジンを積んだのがGTIで、これも高性能車の世界において「クラス」を越境する存在になった。この手法もミニ クーパーがそうだったように、先駆者はあったのだが、やはり母体のゴルフが高品質で、価格が安いうえに普遍性があったので、特別な存在になった。

GTIの「I」はインジェクションの頭文字であり、今では当たり前だが、当時は先進的だった。フォルクスワーゲンは1968年に大衆車としてはいち早くインジェクションを採用したメーカーであった。「GTI」という名称は、その後1980年代のプジョー205GTIをはじめ、日本でも複数のメーカーが採用したが、一貫して作り続けているゴルフのGTIは、やはり別格なのである。

GTI誕生の経緯として、ゴルフ市販化の目前の1973年に、ゴルフの高性能車を開発すれば、フォルクスワーゲンの新規顧客を開拓できるはずだという意見が社内から浮上した。当初はあまり賛同を得られなかったが、その同じ年に発売されたビートル1303Sのスポーティ仕立ての限定車「GSR」が市場で好評だったことなどもあり、次第に高性能モデルの必要性が認められ、商品化を急ぐことになった。

画像: 初代ゴルフ GTIのコクピット。メーターは220km/hまで刻まれている。ギアは4速MT。シフトノブはゴルフボール形状。

初代ゴルフ GTIのコクピット。メーターは220km/hまで刻まれている。ギアは4速MT。シフトノブはゴルフボール形状。

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