職人のこだわりと愛情が込められたB3ビターボ

シートやステアリングホイールのリムに巻かれたレザーは、これも手縫いで青と緑のステッチが入れられる。

このように手の込んだ造りのアルピナは大量生産ができない。しかし桁外れの高い品質を保つためには、このハンドメイドのような造り方を守らなくてはならない。だからアルピナは年間800台程度の生産に留まるのだ。

アルピナを造り上げるためのパーツは100%BMWから納入される。とはいっても通常のBMWのパーツとは異なる。アルピナによって味付けされ、デザインされたものをBMWでプロデュースしてもらうのだ。BMW製のものもあれば、BMWから専門業者に委託して製作されたものもある。いずれもBMWを通してアルピナに納品され、アルピナになっていくのだ。

エンジンのパーツでも、カムシャフト、ピストン、インテークマニホールド、エキゾーストマニホールド、マフラー、さらには制御するコンピュータのプログラムもアルピナ独自のものになっている。もちろん燃焼室の微妙な形状もマニホールドの段差なども調整されているはずだ。

B3ビターボのエンジンの本体部分はほぼ335iと同じものであるが、コンピュータの違いによって、その特性は変えられている。3L直列6気筒パラレルツインターボの335iの最大トルクは400Nm。この数値さえ凄いというのに、B3ビターボではさらに増えて500Nmになっている。

さらに嬉しいことに本国仕様のB3ビターボより、ガソリンの質がいい日本の仕様では12psパワーアップしている。最高出力370ps/5500〜6000rpm、最大トルクは本国仕様と同じ500Nm/3800〜5000rpmである。

0→100km/hは4.8秒の俊足だ。最高速度は285km/hである。BMWのカタログモデルとMモデルは250km/hでコンピュータで制限されるが、アルピナはリミッターを持たない。これは少量生産メーカーだからできたことなのだろう。

ボディはエアロパーツが大きな違いだ。フロントとリアの上品に造られたエアロスポイラーはアルピナ独自のデザインだ。エアバルブが見えない独自デザインのアロイホイール、ブレーキローター、パッドなどもアルピナだけのパーツを採用している。

サスペンションもアルピナ独自の味付けで、バネ、ダンパー、スタビライザー、ゴムブッシュなども基本的にはアルピナ・オリジナルパーツになる。

今回試乗したアルピナB3ビターボは、245/35ZR19(93Y)XLというフロントタイヤと265/35ZR19(98Y)XLというリアタイヤを履いていた。空気圧は前後で2.6/2.5である。標準タイヤは18インチだから、これはオプションのタイヤサイズである。ちなみにタイヤブランドはミシュランパイロットPS2ランフラットが純正指定タイヤになっている。

アルピナと違ってBMW AGの100%子会社であるBMW M社が造るMモデルは、レーシングカーの味を一般道でも味わうことができるクルマを目指している。

だからMモデルは過給器を使わないノーマルアスピレーションにこだわっている。馬力を稼ぐためには、排気量を増やしてトルクを上げるか、過給器を使ってトルクを太くするか、エンジン回転数を上げるという手段がある。馬力はトルク×エンジン回転数の計算で導き出されるものだから回転が上がれば馬力は増すことになる。

ゆえにV型8気筒で4Lという排気量を持つM3クーペのエンジンは、7800rpmからがイエローで8300rpmからがレッドゾーンと高回転型である。

M3クーペの特徴はボディの軽量化にある。ルーフはオプションのガラスサンルーフを選ばなければカーボンファイバー製になる。単に軽くするだけでなく重心位置を下げる効果が期待できる。濃いボディカラーを選ぶと判別がしにくいが、白のような明るい色を注文すれば小さな模様が入った黒い屋根によってM3クーペであると判別できる。

それに対し、アルピナB3ビターボのルーフはカーボンを使っていないが、車両重量はM3クーペの1630kgより軽い1590kgである。

画像: M3クーぺと乗り比べると、敵対しているわけではなく、むしろBMWの魅力をさらに高めるために協力し合っているように思えた。

M3クーぺと乗り比べると、敵対しているわけではなく、むしろBMWの魅力をさらに高めるために協力し合っているように思えた。

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