A4のボディサイズアップには質感と車格感向上の狙いも
というわけで、今回は新型アウディA4 1.8TFSIと、その直接のライバルとなるメルセデス・ベンツC200、BMW 320iの3台を一堂に会して比較してみることにした。
まずはボディサイズを見てみよう。C200は全長458mm×全幅1770mm。ここのところやや野放図とも言えたサイズアップ、とくに全幅方向に一石を投じたことで話題となった。BMW 320iは全長が4525mmと最も小さい。直列6気筒エンジンの搭載を前提にしながら、このコンパクトぶりは見事だ。一方、全幅は1815mmとやや大きめ。しかしこれとて張り出したサイドキャラクターライン上にプルバータイプのドアノブを設けたからであって、全体としてはそこまで大きい感じは受けない。
これに対して新型A4は、セグメントの上限をさらに拡大するかのごとき勢いだ。全長4705mm×全幅1825mmは確かに他車が表現し得ない、豊かな量感を得ることに成功している。
似たようなサイズ感を持つDセグメント車を探すとフォルクスワーゲンのパサートが思い当たるが、このクルマが居住性や積載性を中心に据えてサイズアップしているのに対し、新型A4は明らかに方向性が異なっており、クーペの如き絞り込みの強いルーフラインや、力強いショルダーライン、その下につながる量感のあるドアパネルなど、サイズ面の余裕を贅沢にデザインに使っている。
つまり新型A4の大きさは、クラスを超えた質感と車格感の表現に費やされたという感が強い。
新型A4は、これまでのDセグメント車にはあまりなかった雰囲気を持っている。Cクラスや3シリーズのシャープで男性的なフォルムとは異なり、LEDを用いたデイタイムランニングライト(日本仕様ではポジションランプとして機能する)などで精悍さを出しつつも、実は全体を包むラインがたおやかで優しい。
しかも、フロントアクスルを154mm前に出したことで、ホイールベースはクラス最大の2810mmまで拡大された上に、合わせてフロントオーバーハングの縮小も達成した。その結果、A4のプロポーションが俄然伸びやかになって来たのである。このスタイリングは幅広い層にアピールしそうだ。
ただし、サイズ面の問題は若干あると思う。全幅1850mmのタワーパーキングなら余裕で収まるわけだが、Cクラスや3シリーズと横並びで比較すると、やはり明らかにワンサイズ大きい。同じカテゴリー内で大きく立派に見えることを好むか、Dセグメントらしい手頃さと凝縮感を求めるかで、この辺の評価は大きく変わってくる。