2008年4月、この年のジュネーブオートサロンでデビューしたアウディA4アバントの国際試乗会がスペインのイビサ島で行われた。スタイリッシュなフォルムを手に入れた新しいアバントはどんな個性を発揮していたのか、革新的な進化を遂げたA4のワゴンバージョンはダイナミクス性能をどれほどアップさせていたのか。ここではその国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine2008年6月号より)

パワーゲート奥にはリアシートを倒せば長さ1.8mとなる荷室が存在し、ウインタースポーツなどの装備も問題なく運べる。さらに現代のワゴンモデルではもはや常識となった左右のレールに渡された仕切りバー(オプション)があって、少量の荷物がカーゴルームの床を転げまわる心配はないし、さらに荷室の床板は裏側がゴム張り(標準装備)で、裏返せば濡れたものや汚れたものを運ぶこととができる。もちろん取り外せるので掃除も簡単だ。

ところで試乗車に接近して感じたのは、ここまで全長を伸ばし荷室を大きくしたにもかかわらず、ニューA4アバントは相変わらず美しいこと。しかも「バックシャン」なだけでなく、ホイールベースが約2.8mと、ライバルよりも約4cmも長いにもかかわらず、サイドビューがキリッと締まって安定感がある。これこそがアウディのエンジニアが強調する新しいパワートレーンレイアウトによる成果である。

すなわち縦置きエンジンのデフとクラッチの位置を変更してドライブシャフト取り出し口が約15cm前方に移動、その結果フロントのオーバーハングが小さくなった。さらにドライバーの位置も前進したので前ドア前方上部とホイールアーチとの間隔が狭くなり、プロフィールがこれまでのように間延びしていないのである。また同時に、フロントヘビーであった操縦性も改善されることになった。

このニューA4アバントに用意されるエンジンは実に多様性に富んでおり、ガソリン仕様だけでも120psと160psの2種類の1.8L 4気筒TFSI、180psと211psの2L 4気筒TFSI、そして265psの3.2L V6FSIと5種類が、そしてディーゼル仕様は120ps、143ps、そして170psと3種類のチューンの2L 4気筒TDI、190psの2.7L V6TDI、そして240psの3L V6TDIが用意される。またクワトロシステムは当面ガソリンとディーゼルのトップモデルにのみ準備されている。

このテストデイは欧州向けに開催されたので日本仕様に近いものはなく、テストに選んだのは、すでにセダンでおなじみの160psの1.8L TFSIだ。

画像: Dセグメントステーションワゴンのなかでも大柄な部類に属するA4アバント。ライバルとなる3シリーズツーリング比で全長約180mm、全幅が約10mm、Cクラス ステーションワゴン比では全長が約100mm、全幅が約55mm大きい。

Dセグメントステーションワゴンのなかでも大柄な部類に属するA4アバント。ライバルとなる3シリーズツーリング比で全長約180mm、全幅が約10mm、Cクラス ステーションワゴン比では全長が約100mm、全幅が約55mm大きい。

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