2008年4月、この年のジュネーブオートサロンでデビューしたアウディA4アバントの国際試乗会がスペインのイビサ島で行われた。スタイリッシュなフォルムを手に入れた新しいアバントはどんな個性を発揮していたのか、革新的な進化を遂げたA4のワゴンバージョンはダイナミクス性能をどれほどアップさせていたのか。ここではその国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine2008年6月号より)

積載性能と収納能力がアップしたA4アバント

「バックシャン」という言葉を聞いたことのある人はいるだろうか。これは「デカンショ(デカルト・カント・ショーペンハウエルの3名の哲人の略)」という言葉と同じ時代、戦前戦中のバンカラ大学生が使っていたスラングで、正確な語源はBack Schoen。英語のバック(後ろ)とドイツ語のシェーン(キレイ)で、後ろから見て美人の女性を意味する。

なぜ、こんなことを冒頭に述べたかと言うと、ドイツにおけるアウディ アバントのイメージは「後姿の美しいワゴン(Schoener Ruecken)」なのだ。

中でもA4アバントのデザインは、同じDセグメントのBMW3シリーズツーリングやメルセデス・ベンツCクラス ステーションワゴンと比較して、いつの時代でも美しさという観点ではより多くの賛同を得ており、ドイツや欧州の人気投票でも高い得点を得ている。

5世代目となるA4アバントは今年2008年3月に開催されたジュネーブオートサロンで発表されたが、このニューアバントの試乗会はスペインのイビサ島で行われた。この島はドイツ人のリゾートのメッカで、ドイツ語の新聞やラジオ放送まである、まさに日本人にとってのハワイのような存在である。もちろんその人気の最大の理由は島全体が非常に風光明媚なことで、まさに「美しい島はイビサ」と言えるほど、A4アバントの晴れ舞台には相応しい場所である。

アウディがこれほどA4アバントに力を入れるのは、A4シリーズの中でこのワゴンの占める割合がドイツ国内で65%以上、インターナショナルマーケットで約50%(日本では過半数以上)と、他のDセグメントのライバルに比べて高い販売率を示しているからであると、プロダクトマネージャーのヴォルフラム・バウアーは説明している。

A4セダンをベースにしたアバントの全長は4.7mを超える堂々としたもので、同じDセグメントの3シリーズツーリングよりも18cm、Cクラスステーションワゴンよりも10cmも長い。

このおかげで、アバントは大きく傾斜したバックシャンのリアビューにもかかわらずカーゴルームは通常の状態で490L(3シリーズは460L、Cクラスは450L)を誇る。リアシートを倒した最大の場合は1430L(3シリーズ1385L、Cクラス1465L)と、最大容量ではメルセデスCクラスには負けるがその実用上の差はほとんど誤差の範囲内である。

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