「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は「インプレッサ WRX STI スペックC」だ。

サスペンションとタイヤの違いは、コーナリングで際立った違いを見せる。STIもけっこう軽い身のこなしで、インプレッサの伝統を受け継いだ回頭性の良さを誇っているが、スペックCはさらに余計な動きを封じ込めた感じで、締め上げられたダンパーとSタイヤ並みのポテンザRE070で強固なグリップを見せる。STIは同じ245/40R18サイズのポテンザRE050Aを装着するが、RE070のグリップ力にはかなわない。このままでちょっとしたモータースポーツイベントなら十分に戦えそうだ。

走行フィールでは、とくにフロントまわりの剛性が上がっているのに加えて、ダンパーの伸び側がグンと上げられている感じでロールも小さい。そしてバネ/ダンパーの組み合わせの妙でステアリング転舵時のフロントの入りがいい。また前後のロールバランスは、サーキット走行によりマッチしている。とくにコーナーでリアの安定性が高く、旋回性能が高いのが印象的だ。

乗り心地は、これだけ締め上げられたサスペンションとSタイヤ並みのタイヤで快適なわけはないが、それでも予想以上に許容範囲に収まっていた。もともとSTIもタイヤの硬さを感じるほどなので、むしろ潔い硬さがスペックCらしくて良い。とはいえノイズはかなり大きく、ロードノイズ、パターンノイズ、風切り音、メカノイズ、あらゆる音が平均してSTIよりは大きくなって室内に入ってくるのはやむを得ないところ。

今回のテストでは、1周約1分弱のコースで1秒の差があった。これはけっこう大きな差だ。実際にステアリングを握れば、数字以上にそれを体感させられるだろう。

画像: 1周約1分弱のコースで、ベース車のSTIよりに1秒の差をつけてみせた。

1周約1分弱のコースで、ベース車のSTIよりに1秒の差をつけてみせた。

■インプレッサ WRX STI スペックC 主要諸元

●全長×全幅×全高:4415×1795×1475mm
●ホイールベース:2625mm
●車両重量:1450kg
●エンジン種類:水平対向4 DOHCターボ
●排気量:1994cc
●最高出力:227kW<308ps>/6400rpm
●最大トルク:422Nm<43.0kgm>/4400rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●10・15モード燃費:10.4km/L
●タイヤ:245/40R18
●当時の車両価格<税込み>:368万5500円

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