同グレード=同装備。グループPSAはICE(内燃機関)とピュアEVの垣根を、一気に乗り越えようとしている。ライフスタイルに合わせて選ぶパワートレーンとして電気モーターは今、ガソリンエンジンと同じ土俵に。スポーティとエレガント、個性のチョイスもまた悩ましく楽しい。(Motor Magazine2021年1月号より)

重厚感あふれる走り味乗り心地もマイルドだ

一方の走りだが、50kWhのバッテリー容量や、136ps/260Nmの電気モーターなど、BEVとしてのシステム構成はe-208とまったく同じ。ボディの違いで80kgほど重くなっており、これに伴ってJC08モードの走行距離は、やや短めな398kmと公表されている。けれども実際に走ってみれば、動力性能面では決定的な違いは感じなかった。スポーツモードでフルパワーを解放した時の加速やレスポンスは変わらず痛快だ。

静止状態からの走りだしでは、シャープな反応を見せるe-208より重厚感がある。だがそれは、プジョーよりソフトでストローク志向となるDS流の足まわりによるところが大きい。乗り心地も格段にしっとりしており、そのぶん、ステア操作に対する反応もマイルドだった。この穏やかな乗り味は、高い静粛性も含めてBEVと相性が良い、と感じられた。

最後に、両車で実際にドライブする時に気になる充電と「電費」の印象に関してまとめておこう。車載されているケーブルで繋ぐコンセントタイプの3kW普通充電だと、フル充電まで約18時間、50km走行分の充電には3時間ほどかかる。これが6kWhのウォールボックスタイプになると約9時間と約1.5時間にまで短縮される。急速充電に関しては50kWhのCHAdeMO1.0に対応していて、80%まで充電するのに約50分ほどで済むという。

今回のロードテストでは、ウォールボックスタイプの普通充電器が2基ある沼津のビジネスホテルに投宿して、夜間に充電しておいた。朝の出発時にシステムを起動させるとe-208は320km、DS3クロスバックE-テンスは260kmの走行可能距離を、それぞれ表示していた。

そこから急峻な山道を駆け上がって箱根を目指したが、登り坂は常にフルロードとなるため充電量がみるみる減っていく。実際に走ったのは30kmほどだったが、三国峠に到着した時の走行可能距離は150kmと170kmにまでそれぞれ減っていた。路面の勾配によって距離が激しく左右されるのはBEVの常とはいえ、この減り方だけ見れば少し不安を感じる。

まだ撮影を残していたので、どこかで充電しなければ東京まで100kmほど走りきるのは難しいかと思われた。だが、坂道が下りに転じると、その不安は文字どおり「みるみる」解消されていった。おそらく効率的なエネルギー回生技術のおかげもあるのだろう。走行可能距離が想像以上に回復していくのだ。

画像: プジョー車を選ぶ重要なポイントのひとつが、3D i-コックピットと呼ばれる個性的なインターフェイス。オーバル形状の小径ステアリングホイールとヘッドアップスタイルのインストルメントパネルなど、とてもスポーティだ。

プジョー車を選ぶ重要なポイントのひとつが、3D i-コックピットと呼ばれる個性的なインターフェイス。オーバル形状の小径ステアリングホイールとヘッドアップスタイルのインストルメントパネルなど、とてもスポーティだ。

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