2008年、モデルサイクル半ばの997型911カレラ/カレラSが大きな進化を遂げた。そのポイントはデュアルクラッチ機構を備えたトランスミッションPDKと直噴ガソリンエンジンDFIの採用。フェイスリフトとは思えない大きな変更は話題となった。なぜ、911カレラ/カレラSはここで大胆な変更を行ったのか。この時、911カレラ/カレラSの走りはどれほど変わったのか。ドイツ・ヴァイザッハで行われたワークショップと国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年8月号より)

避けては通れない燃費と環境性能の向上

今さら改まって言葉にするまでもなく、ポルシェはスポーツカーメーカーであり、911カレラは紛れもないスポーツカーである。スポーツカーの定義は人それぞれ違うとは思うが、個人的にひとつ挙げるとするなら「走ることが楽しい」と感じることだと考えている。

今回、ポルシェのヴァイザッハ研究開発センターにて、第二世代に進化した新しい997型911カレラ/カレラS(クーペ&カブリオレ)のワークショップに参加し、シュツットガルト周辺にて試乗することができた。

結論から先に言ってしまうと、新しいカレラ/カレラSは、マイナーチェンジされたというひと言で表せないほど濃い内容となっており、期待していた以上に走ることが楽しいと感じる出来映えだった。

そのワークショップの冒頭、ヴァイザッハで研究開発を担当するデュラハイマー上級副社長は、「911シリーズは当社の魂でありスポーツカーの象徴である」と言い、さらに「1963年9月のフランクフルト国際モーターショーで発表された911は、その後も45年間、常にエンジン出力に対して最適な燃料消費量を追求し続け、それはポルシェの義務であるとも考えている」と語った。

ポルシェは、走行性能のみを追求しているのではなく環境性能の追求も怠ってはいない。いや、むしろ逆で、ポルシェは、これほど燃費や環境性能が叫ばれる前から、真摯にその問題に取り組んできているということを、改めてアピールした。

単純に考えてしまえば、燃費の向上と出力やトルクの向上という両立は、相容れないものだと思えるが、ポルシェは、いとも簡単に(見えたのだが)ポルシェドッペルクップルング(PDK)と直噴エンジン(DFI)のふたつを採用することで実現させた。次期モデルに採用されても不思議ではないこの技術を前倒しして投入した背景には、環境問題への対応に一刻の猶予も残されていないということがあるのだろう。

燃費と環境性能の向上はスポーツカーにとっても避けては通れないこと。もともと911シリーズの燃費が悪いわけではないのだが、その部分をさらに進化させたのは2009年9月から始まるユーロ5規制への対応でもある。それは、このカレラ/カレラSが、ユーロ5をいち早くクリアしていることからもわかる。

画像: 新しいカレラは冷静にドライビングすることが難しいほどエキサイティング。フロントのデイドライビングライトやテールライトユニットにLEDが採用される。アルミホイールも新デザインで、ドアミラーは縦方向に大きくなり視認性が上がった。

新しいカレラは冷静にドライビングすることが難しいほどエキサイティング。フロントのデイドライビングライトやテールライトユニットにLEDが採用される。アルミホイールも新デザインで、ドアミラーは縦方向に大きくなり視認性が上がった。

This article is a sponsored article by
''.