2008年2月の13代目クラウン発売から遅れること3ヵ月、いよいよクラウンのトップモデルというべきハイブリッドモデルがラインアップに加わった。4.5Lクラスの動力性能と2Lクラスの低燃費を両立させたトヨタのフラッグシップはどんな仕上がりを見せたのか。今回は2008年5月に軽井沢で行われた試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年8月号より)

燃費や走りだけでなく、乗り心地、静粛性にもこだわった

本年2008年2月に発売された13代目クラウン(ロイヤルとアスリート両シリーズ)が快調なセールスを続けている。3月の登録台数は1万0605台、4月が9199台。これはトヨタの3ナンバー登録車中ダントツのトップ。ちなみに4月実績の2位はプリウスで5454台だった。

この新車効果がどれだけ継続するか興味深いが、ともかくクラウンはユーザーの裾野が圧倒的に広い。またトヨタ自動車の「精神的支柱」ともいえるクルマゆえ、作り手の熱の入り方が違う。そしていよいよ5月からクラウンの3本目の柱ハイブリッドが追加されたのだから、まだまだ新車効果は続きそうだ。

クラウンハイブリッドをわかりやすくいえば、アスリートシリーズのサスペンションをハイブリッド専用に最適化させ、レクサスGS450h用のFRベースのハイブリッドシステムをこれまた専用にリファインして搭載したモデルといえる。

エクステリアデザインはフロントビューはロアグリル開口部の大きいアスリートシリーズと共有するが、グリルは横バーを組み合わせた形状で、ロイヤルシリーズのそれを力強くした感じ。リアビューはスポイラー、専用エンブレムが配される。

クラウンハイブリッドの試乗会は5月末に軽井沢で開かれた。当日はあいにくの雨と霧の悪天候。試乗車に乗り込んでホテルの駐車場から一般道へ出る間は全くの電気自動車状態であった。スーッと無音で走り出す。そしてアクセルを少し踏むとドライバーに気づかせることなく自動的にエンジンが掛かり、さらに奥まで踏めばモーターがアシストして一気呵成の加速力を示す。

ここのところがなんともスムーズかつシームレスなので、なんとも表現しにくい。いいとか悪いとかではなく、ああクルマもこうなったのかと感心するしかない。ユーザーはもうハイブリッドの作動原理を知る必要はないだろう。ことほど左様になんのストレスもなく「自然に」走る。

充電と放電を繰り返すニッケル水素バッテリーなど、ハイブリッドシステムによる重量増加はアスリート比で約200kg。大人3名分も重いのだが、走行中それをまったく感じさせない力感がある。

レクサスGS用のシステムとの違いは、クラウン用はファイナルレシオをかなりハイギアード化していることと回生効率を増加させていることだ。

その目的はずばり燃費の向上。10・15モード燃費は15.8km/L、実燃費に近いJC08モードでも14.0km/Lときわめて優れた燃費をマークする。そのぶん、GS450hの怒濤のような加速力はいくらかスポイルされているが、それでも十分以上で、私はむしろクラウンの加速感の方がジェントルで好ましいと思う。

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