内燃エンジンの進化を追求して開発されたマツダのスカイアクティブX。そのアップデートプログラムの効果と意義を、テストコースで体感した。(Motor Magazine2021年1月号より)
加速感が小気味良さを増しているのには、全域のトルク増強によりシフトアップ後のもたつきを気にしなくていいようになったがゆえの、変速時間の短縮が効いているのだろう。しかもサッと早めに踏み込むと高応答エアサプライが早めに作動して過給効果が得られ、鋭い立ち上がりを可能にする制御も組み込まれた。
こうした細かな変更によって、とくに低速域のドライバビリティが高まったのがSPIRIT#1.1である。中高回転域は、従来のスカイアクティブXでも、アクセルペダル操作に対する無類の一体感を味わわせてくれていたが、いよいよその旨味が全域に及んだのだ。
とくにAT車では、従来はDレンジだと早め早めにシフトアップしていってしまうため旨味を味わいにくかったのが、今回は、しっかりスカイアクティブXの「らしさ」を堪能できるようになったという意味で、進化幅が大きく感じられた。
それにしてもこのSPIRIT#1.1を、既存のスカイアクティブX搭載車ユーザーには無償でアップデートとして提供される予定だというのには驚いた。これは、未知のエンジンの可能性に共感して支持してくれたユーザーへの、メーカーとしての感謝の気持ちだという。
内容はもちろん、とてもマツダらしいユーザーとの熱い契りも印象的なスカイアクティブXの最新版。まずは、サスペンションなどにも手が入れられたフェイスリフト版のマツダ3に積まれて、すでに発売中である。(文:島下泰久)