2008年、セダンの登場してから4カ月、アウディA4の本命とも言うべき「アバント」が日本にやってきた。Motor Magazine誌はA4アバント上陸を機にワゴン特集を企画、A4アバント 3.2FSIクワトロと1.8TFSIを連れ出して試乗テストを行っている。今回はその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年10月号より)

それは一体どういう意味か。まずは外観の方から見ていこう

新型A4アバントのスリーサイズは全長4705mm×全幅1825mm×全高1465mm。全長は先代より120mm、全幅は45mm拡大されているが、歴代アバントの例に倣って、その数値はセダンと共通である。リアオーバーハングの延長というワゴンの常套手段を使わないのは、スタイリングと走りにこだわってのことだろう。

実際、そのスタイリングは最新のアバントに対する期待を裏切らない。特徴的なのはサイドビュー。ルーフラインは後方に向かいなだらかに下がっていき、一方でウエストラインはほぼ水平にリアエンドまで伸びる。その間に挟まるウインドウは、キャビンを小さく見せるべく、まるでクーペのような輪郭に。さらに、ボトム部分を走るダイナミックラインが後方に向かうにつれてせり上がっていき、すべてがリアエンドで収束するという具合だ。

このキャビン後半部分は、後方から見るとギュッと絞り込まれていて、ボリューム豊かな下半身との対比で安定感のあるリアビューを形づくっている。積載性重視のワゴンではあり得ないこんな造形が許されるのは、さすがアバントだ。

また、フロントの車軸を154mm前に出した新しいパッケージングや、大きくなったボディサイズも、伸びやかかつスポーティなプロポーションの実現に貢献していることは、実車を前にすれば一目瞭然である。

サイズアップは、当然ながら美しいスタイリングのためだけのものではない。主眼はあくまで室内空間、そしてラゲッジスペースの拡大であり、実際にその効果は明らかだ。

まずは室内空間。とくにその恩恵が大きいのはリアシートである。全幅拡大でゆとりのできた横方向だけでなく、シートに座ったときの膝と前席の座面の間の余裕が大幅に拡大して、足を組んでもつっかえることがなくなったし、足の置き場自体も広くなった。

ボディサイズを考えれば、それでも広大という程ではない。しかし狭いところに窮屈な姿勢で座ることを余儀なくされた先代A4との違いは明らか。これなら大人4名での旅行でも、全員が寛いだ気分で過ごせるだろう。

しかし、見所はやはりラゲッジスペースである。その容量は、リアシートを使用した状態で490L。先代に対して48Lの大幅な拡大となる。そしてリアシートのバックレストを前に倒せば、最大1430Lのフラットなスペースを生み出すことが可能だ。

広いだけでなく、開口部は広く、リアゲートも大きく高く開き、フロアはフラットで左右の張り出しも少ないなど使い勝手も悪くない。フロアは裏面を汚れや水気に強い樹脂製としたリバーシブル式とされ、その左右には伸縮式パーティションや荷物固定用ネットなどが取り付けられるレールが敷かれている。こんな具合で、容量ばかりでなく使い勝手もこれまで以上に充実しているのが、新型A4アバントのラゲッジスペースである。

こうした見た目、そして使い勝手に対して、基本的なメカニズムに関しては、ほぼセダンに準じたものとされている。ラインアップも一緒。バランサーシャフトを組み込み、低フリクション化が図られた新設計の直列4気筒1.8L直噴ターボユニットに、変速比の可変幅を広げた改良版のCVT=マルチトロニックを組み合わせたエントリーモデルの1.8TFSIと、やはり低フリクション化を進め、アウディバルブリフトシステムを搭載するなどして高効率化を図ったV型6気筒3.2L直噴エンジンを搭載し、トランスミッションにティプトロニック6速ATを設定する3.2FSIクワトロの2モデルが用意される。

駆動方式は前者がFF、後者が基本前後トルク配分を40:60とリア寄りに設定したクワトロである。なお、試乗車は1.8TFSIがスポーツサスペンションと18インチホイールを、3.2FSIクワトロがアウディドライブセレクトと17インチホイールを、それぞれ組み合わせていた。

画像: 伸びやかでスポーティなスタイリングが特徴のアバント。従来はワゴンとしての機能を重視していなかったが、新型では不便なくスマートに使えるよう練られている。

伸びやかでスポーティなスタイリングが特徴のアバント。従来はワゴンとしての機能を重視していなかったが、新型では不便なくスマートに使えるよう練られている。

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