クルマに押し寄せる電動化の波は、確実に大きくなってきた。そして車種も着実に増えている。電気モーター駆動の利便を享受するためには、電力のマネージメント術も大切となる。(Motor Magazine 2021年2月号より)
ピュアEVでもアピールされるブランドらしさという特色
それゆえ、グローバルな視点でのCO2削減効果に関しては、いまだ諸説が聞かれるピュアEVではあるものの、日本でも一気に賑やかさを増したこのセグメントの作品には、やはり各ブランドごとのオリジナリティが現れているのも事実。
たとえばアウディ初の量産型ピュアEVであるeトロンスポーツバックでは、コアコンピタンスである4WDシステムの採用はもとより、搭載する大容量バッテリーを巧みに温度管理することや回生効率を高めたことによる長い航続距離の確保など、先進技術の採用をアピールする点がいかにもこのブランド的だ。
一方で、純エンジンモデルと同じ骨格を用いて、スタイリングにも大きな差異は与えていないe-208/SUV e-2008/DS3 クロスバック E-テンスという共通のメカニカルコンポーネンツを用いたPSAの3モデルでは、バッテリー搭載量はあえて抑え目とするなどで「実際の使用過程におけるコストを、純エンジン車と同等とする」というコンセプトを掲げる点が新しい。
対して、ポルシェが送り出すタイカンでは、4ドアモデルながらも後席足元にバッテリーを置かない「フットガレージ」を設けることなどで、911由来のルーフラインや超低重心レイアウトを実現。「スポーツカーメーカー」ならではの特色を見せつける。
いずれにせよ、このセグメントには2021年もニューモデルが続々登場すること間違いなしだ。(文:河村康彦)