アウディにとってモータースポーツは切っても切れない関係にあるが、そこにはどんな意義があるのか? アウディスポーツ スペシャリストに中原英貴氏にインタビューを行った。(Motor Magazine2021年3月号より)

モータースポーツでの勝利で自らの技術の信頼性を証明

編集部:フォーミュラEにも参戦していますね。

中原:フォーミュラEには2017年から参戦していますが、市販車のさらなる電動化を見据えて、ルマンの次のフェーズとして今後のアウディにとって大事な活動になっています。

ここでもシーズンが進むにつれて成績も上がり、シーズン3(2016〜2017年)ではルーカス・ディグラッシがドライバーズチャンピオンを獲得しました。これも電気自動車「eトロン」の市販に向けて、アウディのテクノロジーを証明できたと思います。

こうして一貫してモータースポーツで初めての技術を磨いていき、それを市販車に導入していくというアウディの哲学ができあがっていったのだと思います。

編集部:モータースポーツは、参戦すること自体は難しくありませんが、勝利を収めるのは並大抵のことではないですよね。アウディはそこで必ず結果を残してきていますが、それはなぜでしょうか?

中原:ご存じのとおり、モータースポーツで勝つということは簡単ではありません。マシンの実力やドライバーのテクニックだけで勝てるものではなく。エンジニア、メカニック、そして戦略や資金力など、すべてが揃わないと勝利を収めることはできません。

つまりチームの高い総合力というものが必要になってくると思いますが、アウディという会社は勝つことをコミットメントするためには苦労することを惜しみません。そして自然と、熱い情熱を持った人材が集まってくるんですよね。

編集部:ところで20年12月には、ダカールラリーへの参戦が発表されましたが、これにはどのような背景があるのでしょうか?

中原:まだ詳細をお伝えすることはできないのですが、ダカールラリーには電動ドライブトレーン、高電圧バッテリー、高効率なエネルギーコンバーターを組み合わせたドライブコンセプトを採用したプロトタイプモデルで参戦します。

これもフォーミュラEの次のステップとして、量産車に採用する新技術の実験室としての参戦、と理解していただいて結構です。

画像: 2021年シーズン開幕戦が延期となったフォーミュラEだが、ここでデビュー予定だったニューマシンがAudi e-tron FE07。0→100km/h加速は2.8秒、マシン全体の総合効率は95%以上と公表。ラストシーズンのタイトル獲得が期待される。

2021年シーズン開幕戦が延期となったフォーミュラEだが、ここでデビュー予定だったニューマシンがAudi e-tron FE07。0→100km/h加速は2.8秒、マシン全体の総合効率は95%以上と公表。ラストシーズンのタイトル獲得が期待される。

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