モータースポーツでの活躍がブランド力を高める
編集部:次に日本でのモータースポーツ活動について教えていただきたいのですが、スーパーGTにR8のGT3カテゴリー車両で参戦されていますが、その意義はどこにあるのでしょうか?
中原:アウディのモータースポーツ活動は、フォーミュラやDTMのように本社のチームが関わって参戦する「ファクトリーレーシング」と、車両を提供して運営をチームに任せる「カスタマーレーシング」があるのですが、日本での活動はこのカスタマーレーシングの一環です。
スーパーGTでは2012年から「一ツ山レーシング」さんをサポートさせていただいています。具体的には現地のサーキットにパーツを満載したトラックを派遣し、なにかあってもすぐに対応できるようにしています。これは信頼あるチームへの本社のコミットメントなんです。
編集部:でも、モータースポーツは、やはりお金がかかるので、予算を取るのは大変じゃないですか?
中原:そうですね。普通の会社だとモータースポーツって理解されにくいですよね。景気が悪くなると一番先にコストカットの対象になってしまうことが多いと思います。でも、アウディはそうじゃないんです。モータースポーツをうまくマーケティングに使ってやるべきだという、本社の理解が大前提としてあるから、続けられているんだと思います。
編集部:国内ではそのほかにもスーパー耐久やTCRジャパンにRS3で参戦されていますよね。
中原:それもカスタマーレーシング活動の一環です。スーパーGTにR8で参戦するのはやはりハードルが高いですが、アウディのカッコいいクルマでレースに出たいという人は多くて、そうしたユーザーさんに対応しています。これでアウディスポーツのカスタマーレーシングの裾野が、日本だけでなく世界に広がっています。
編集部:ところでサブブランドとして「アウディスポーツ」を2016年に日本へ導入されましたが、どういう経緯があったのでしょうか?
中原:アウディスポーツというブランドは、モータースポーツのブランドという位置づけだったんですが、培ってきたブランドをビジネスにも展開しようということで導入しました。
編集部:アウディスポーツブランドの導入から4年以上が経過しましたが、これまでの反響などはいかがでしょうか?
中原:アウディを好きな人が全員モータースポーツを好きというわけではないのですが、アウディスポーツの認知が広がっていくにつれて、市販車ではRSモデルのイメージアップにつながっています。
とくにRSシリーズのエントリーモデルであるRS3はここ数年で人気が出てきて、2020年7月には2年ぶりに再び販売することへとつながりました。限定でしたが、すでにほぼ完売しています。
編集部:最後に、RSモデルはどんな人にオススメしたいですか?
中原:これまで言ってきたように、RSモデルはアウディのモータスポーツで培ってきた技術を惜しみなく投入しています。しかし、すべてがガチガチにハードな乗り心地なわけでなく、コンフォートモードで街中を快適に走れます。SUVのQ3やQ8にもRSモデルをラインナップしているので、幅広い人にRSのパフォーマンスを楽しんでいただきたいですね。(文・まとめ:Motor Magazine編集部 加藤英昭/写真:井上雅行)