四半世紀以上前に登場した最初のRSモデルのコンセプトを忠実に受け継ぐ、2台の最新アウディ「RS」アバントが日本に上陸した。ここでは最高の実用性と速さを兼ね備えた稀有な2台の実力を測る。(Motor Magazine2021年3月号より)

両車ともに性能に不足はないRS6アバントは劇的に進化

日本では2020年秋、ベースモデルのB9系A4にビッグマイナーチェンジが施されたが、それにあわせてRS4アバントも時間差なく刷新されたモデルが上陸した。エクステリアは灯火類の形状やグラフィック、エアインテークデザインなどが変更され、インテリアでは10.1インチタッチパネルモニターを採用した最新のMMIが搭載される。

基準車であるA4に対して寸法上の拡幅25mmはとなるが、実物を見るにその存在感は別物だ。こだわり続けるフェンダーのブリスターフィニッシュはもちろんクワトロの源流との関連性を映し出したものだろう。

前型となるRS4アバントの市場投入から約2年と日が浅い日本市場ではその必要を感じないわけだが、この新型ではメカニズム面での更新について、特別なアナウンスはない。搭載されるエンジンはポルシェもパナメーラなどに採用する、アウディが設計主導したEA839系2.9L V6ツインターボだ。

バンク間にふたつのターボユニットを収めるそれは450ps/600Nmを発生。最高出力発生回転域は5700〜6700rpmとトップエンドまでしっかりパワーを乗せる一方で、最大トルクは1900rpmから得られるなど、使い勝手にも考慮された特性になっている。組み合わせられるトランスミッションは8速ATだ。

クワトロシステムは通常時に前40、後60の駆動伝達となり、駆動状況やドライブモード設定に応じて最大で前に70%、後に85%の駆動力を配分する。これとは別に後軸側にはスポーツデフが配され、後ろ左右輪を増減速制御することが可能だ。また、対角線上にあるダンパーの油圧制御によりダンピングレートの可変だけでなくピッチやロールの姿勢制御も行うダイナミックライドコントロール付きのスポーツサスペンションも、日本仕様では標準装備となる。

一方、C8系A6アバントをベースとする四代目RS6アバントの、ベースモデルと全幅を75mm違えるその佇まいは、代々のRS6と同じくアウディならではの冷徹さが余って激情と化したかのような只ならなさが感じられる。パンパンに膨らんだホイールハウス内に収められるタイヤは標準でも275/35R21、試乗車はオプションの285/30R22と強烈なサイズで、この拡幅がコケおどしではないことは明らかだ。

エンジンは先代と同じく、ふたつのタービンをバンク間に置くホットVマウントの4L V8ツインターボだが、その中身はEA824系から完全に改められ、ポルシェが設計を主導し同社のツッフェンハウゼン工場で生産されるEA825系となった。パワースペックは600ps/800Nmと、同系エンジンのファミリーにおいてはランボルギーニ ウルスに次ぐハイチューンとなっている。一方で低負荷時の気筒休止システムに加えて48Vのマイルドハイブリッドシステムが採用されており、WLTCモード燃費は9.9km/Lと、S6アバントに対して0.7km/Lの悪化に留められた。

足まわりは専用チューニングを施したRSアダプティブエアサスペンションが標準装、オプションでRS4アバントと同じくダイナミックライドコントロール付きの油圧ダンパーを用いたRSスポーツサスペンションプラスが用意される。加えて、同相1.5度、逆相5度の最大角となる後輪操舵システムも標準装備され、取り回しだけでなく運動性能の向上を果たしている。駆動システムはRS4アバントと同じセルフロッキングデファレンシャルの制御ロジックを持つクワトロで、リアのスポーツデフも標準装備となる。

画像: アウディRS6アバント。エンジンは先代と同じく、ふたつのタービンをバンク間に置くホットVマウントの4LV8ツインターボ。ただし、中身は大きく違う。

アウディRS6アバント。エンジンは先代と同じく、ふたつのタービンをバンク間に置くホットVマウントの4LV8ツインターボ。ただし、中身は大きく違う。

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