「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、GAZOOレーシングが手がけた「GRMN ヴィッツターボ コンセプト」と「GRMN iQ +スーパーチャージャー コンセプト」だ。

GRMN ヴィッツターボ コンセプト(2010年:プロトタイプ)

前回に引き続き、GAZOOレーシングが手がけた2台のプロトタイプの試乗レポートをお届けしよう。

画像: ロールケージの採用でボディ剛性も高められ、トータルバランスの高さと扱いやすいパワーフィールで好印象だった。

ロールケージの採用でボディ剛性も高められ、トータルバランスの高さと扱いやすいパワーフィールで好印象だった。

トヨタはコンパクトモデルを数多く市場に投入しているが、MTで走りを楽しみたいと思っても日本のカタログモデルでは非常に数が少なく、選択肢が限られている。また、小排気量車ではパワー的にちょっと物足りないという場合も多い。

海外ではそんな声に対応しながら、環境性能にも考慮した過給器付きのモデルが多く発売されている。具体的に言えば、フォルクスワーゲンのポロやゴルフ、そしてまだ発売前(編集部註:発売されず)だがマーチのスーパーチャージャーなどがそうで、いずれも走りの楽しさと環境性能を見事にバランスさせている。トヨタもこういった「小排気量+過給器」という流れを以前から研究していたというわけだ。

最初に乗った「GRMN ヴィッツターボ コンセプト」は、とにかくシャシ、ボディ、そしてパワーユニットのトータルバランスがいい。室内にはロールケージも張りめぐらされてボディはガッチリとしていて、サスペンションのストローク感もある。前後左右のGが高くなっても路面から受けるインパクトは少なく、カドのない乗り心地と安定感を高次元でバランスしている。

コーナーではスーッとノーズが入っていってくれるレスポンスのいいハンドリングでありながら、少しも緊張感は強いられない。これなら初めてスポーツドライビングを体験しようという人も、きっとクルマを好きになってくれるに違いない。

エンジンも期待どおりだ。モリモリとパワーが膨らんでいくターボ効果に加えて、低速域でのレスポンスも良いので、ギアの選択に迷うことも少ないだろう。

街乗りでも我慢を強いられない乗り心地で、キビキビとしたハンドリングと扱いやすさを生み出している点に実力の高さを見た。ターボゆえに上でのパンチ力もあるから、エントリーユーザーから上級者まで幅広いニーズに応えてくれるはずだ。

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