「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、GAZOOレーシングが手がけた「GRMN ヴィッツターボ コンセプト」と「GRMN iQ +スーパーチャージャー コンセプト」だ。

GRMN iQ +スーパーチャージャー コンセプト(2010年:プロトタイプ)

画像: シャシ性能の高さは良いのだが、スーパーチャージャーのセッティングは煮詰めがもう少し必要と感じられた。

シャシ性能の高さは良いのだが、スーパーチャージャーのセッティングは煮詰めがもう少し必要と感じられた。

今年(編集部註:2010年)の11月以降に発売されることになったiQのMTモデルだが、今回試乗した「GRMN iQ+スーパーチャージャー コンセプト」は輸出仕様をベースに開発が行われている。そのため右ハンドルだがウインカーのレバーは左側にあった。

ベースの1.3Lエンジンにスーパーチャージャーが装着され、輸出モデルとのスペック比で約20%パワーアップされているという。テストコースで走った限りでは思ったより初期レスポンスは鈍く、アクセルを踏んだ直後の加速感は少し緩慢。一拍おいてからシューンという音とともに力強さが伝わってくる感じだ。

しかし、その太目のトルク感は5500rpmくらいまで続く。スーパーチャージャーならではのフラットトルクが持ち味で、高いギアに入っても加速感が衰えないのは大きな魅力だ。どの回転数からでも、右足に力を込めればシューッと盛り上がるトルク感に助けられ、運転がとてもラクだ。エンジン回転に気をとられることがないから、ステアリングワークに集中することができ、走りを存分に楽しめる。

ハンドリング的にもリアがグーッと沈み込みながら路面を捉えてくれていて、ラインの乱れもない。荒れたところをポンと乗り越えるような時にも接地感を失いそうになることが少なく、安定感は抜群だ。ノーマルのiQはいつも前後に動いて落ち着きがなかったが、このクルマではそういったことはない。ホイールベースの短さに気を使うことなく、遠慮なくコーナーに飛び込めるのはその証だろう。

街乗りでは少々硬めの乗り心地だが、iQのウイークポイントは解消してくれている。スポーティなコンパクトカーを求めるエントリーユーザーのために、ぜひとも市販化して欲しい一台だ。

画像: スーパーチャージャーならではのフラットトルクで、高いギアでも加速感が衰えないのは大きな魅力だ。

スーパーチャージャーならではのフラットトルクで、高いギアでも加速感が衰えないのは大きな魅力だ。

■GRMN ヴィッツターボ コンセプト 主要諸元

●全長×全幅×全高:3800×1695×1505mm
●ホイールベース:2460mm
●車両重量:1060kg
●エンジン:直4 DOHC+ターボ
●排気量:1.5L
●最高出力:110kW(150ps)/6000rpm
●最大トルク:196Nm(20.0kgm)/4800rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:横置きFF

■GRMN iQ+スーパーチャージャー コンセプト 主要諸元

●全長×全幅×全高:3025×1695×1470mm
●ホイールベース:2000mm
●車両重量:980kg
●エンジン:直4 DOHC+スーパーチャージャー
●排気量:1.3L
●最高出力:ノーマルの72kW(98ps)から20%アップ
●最大トルク:ノーマルの123Nm(12.5kgm)から25%アップ
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:横置きFF

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