2020年に日本市場にもデビューを果たしたEV(電気自動車)のアウディeトロンシリーズ。まずはプレミアムな大型SUVスタイルからの導入となったが、海外では早くもコンパクトSUVセグメントの「アウディ Q4 eトロン クワトロ(Audi Q4 e-tron quattro)」プロトタイプに試乗するチャンスがやってきた。(Motor Magazine2021年5月号より)
ロングディスタンスを実現する後輪駆動版も計画
パワートレーンは電気モーターを前後のアクスルに搭載したクワトロシステムで、総出力は306ps、0→100km/hはおよそ6秒プラスアルファ、最高速度は180km/hでリミッターが介入する。また床下の電池は82kWhの容量で航続距離は450kmと発表されているが、将来的には500kmまで伸びる後輪駆動バージョン、さらにはスポーツバックも追加される。
アクセルペダルを踏み込むと、Q4は静々とクリープ走行を始める。もちろん加速は鋭く、一瞬にして交通の流れに乗ることが可能だ。セレクトスイッチはDと回生力の強いBの2段階、ドライブモードはエフィシェンシー、コンフォート、オート、ダイナミック、インディビデュアルの5種類が用意されている。さらにパドルで3段階の回生力調整も可能で、最大で0.3Gの減速度を得ることができる。
アウディのマルクス・ディースマン社長はこの試乗会の終了後に、まず同社は内燃機関の新規開発を取りやめる、そして2025年までにA1からA8の価格帯に合わせたニューEVを20種類発売すると公表した。このような問題の核心をついたメッセージは日本の自動車メーカーからは届いてこない。
これでは日独、日本と世界の自動車におけるカーボンニュートラル解決に向けての取り組みの差は大きく開くばかりである。Q4 eトロンが良いクルマであっただけにちょっと憂鬱になってしまった。(文:アレキサンダー・オーステルン<キムラ・オフィス>/写真:キムラ・オフィス)