東京から高速道路に乗れば2時間半ほどで行ける静岡県中部に位置する大井川。南アルプスを源流とし、その奥大井は豊かな自然を体感できる。数多くの吊り橋やダムが存在する、新緑の奥大井をスバル フォレスター SPORTで巡ってきた。(Motor Magazine2021年6月号より)

タイトル写真:井川ダム(静岡市)。日本初の中空重力式コンクリ-トダムで堤高103メートルと巨大な建造物だ。

新開発ターボエンジンを搭載したスポーツモデル

2004年に発行された当時の富士重工業(現スバル)の50年史をめくってみると、4WDモデルを開発するきっかけは、意外なところからの要望だったという。

1968年、東北電力では送電線補修作業用として、今で言うクロカン四駆、ヘビーデューティ4WDを利用していたが、車体が大きく重いことから運転のしにくさや、乗り心地の悪さがネックとなっていた。整備性や経済性にも問題を抱えていたことから、当時使っていた乗用車タイプのスバル1000バンを4WD化できないものか、と宮城スバル自動車に打診したことから歴史は始まった。

宮城スバルが独自に改造車を製作し、雪道テストを行った後に、1971年にはスバル技術本部に専門の4WDチームを発足させ開発を本格化。1972年9月にスバルのコア技術である初の4WDモデルとして「レオーネ4WDエステートバン」がデビュー。当時、事業用として月販100台程度だったものが、現在ではスバルの屋台骨を支える基幹技術となり、世界を代表する4WDメーカーに成長したのである。

50年の時が流れて、スバルの4WDラインナップは充実し、世界の道路で大きな信頼を得ている。中でも昨今、世界的な潮流となっているSUVモデルとして、1997年にデビューしたフォレスターはすでに5代目へと進化して、2020年秋にはレヴォーグと同じ新開発の1.8Lターボユニットを搭載する「SPORT」をラインアップ。

SUVらしいたっぷりとしたロードクリアランスと広いキャビンスペースのボディには、シンメトリーな水平対向エンジンに、8速へとアップデートされたリニアトロニックとフルタイム4WDが組み合わされ、スバルのDNAに刻まれている本格4WDの機動力を持ちながら、上質な乗り味を身につけた。

ダムを巡りながら南アルプスの麓を目指して

今回はこの最新のSUVモデルで、スバル4WDの起源でもある、東北電力で活躍した現地への訪問を目指したがまだ残雪期ゆえ、中部電力のお膝元に急遽変更。大井川水系のダムを巡りながら、南アルプスの麓を目指すことにした。

当日は幸いにして中部地方は好天に恵まれ、早朝から西に進路をとった。東名高速のおよそ200kmの移動では、新開発の1.8Lターボエンジンと8速リニアトロニックによって、100km/h巡航では1500rpm付近をキープ。追い越しや緩加速時には即座にパワーが立ち上がり、無駄な変速をせずに滑らかな走りをキープ。スポーツモードを選ぶと今度はひとつ下のポジションを即座に選択、力強い加速に移ることもできる。

画像: 長島公園付近。市街地ではすでに桜は終わっていたが、大井川上流域ではまだ桜が咲いていた。

長島公園付近。市街地ではすでに桜は終わっていたが、大井川上流域ではまだ桜が咲いていた。

桜のシーズンも終盤を迎えたことで順調に静岡を通過し、大井川水系の入り口ともなる大井川焼津藤枝インターを降りたときはまだ朝食時間のタイミング。藤枝市周辺には駅の立ち食いうどんならぬ朝ラーメンの店が多くあると聞き、常連さんにならって温かいのと冷たい2杯をペロリとたいらげた。

腹ごしらえしたあとは一気に大井川の源流を目指す。大井川鐵道の始発駅である金谷駅から国道473号線、県道63号線でひとまず千頭駅までは47kmほど。大井川を右に左に見ながら北上するが、水量は少なくのどかな河原には早くも多くの鯉のぼりが空に泳いでいた。

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