従来モデルより全長は20mm長く、全幅は30mmワイド。そして室内空間もわずかに拡大。プラットフォームはMQBを採用するなど、先代からキャリーオーバーされた部分も多くある。それだけにニュー A3シリーズの熟成度合は高い。触れて感じたその仕上がり具合を見る。(Motor Magazine2021年7月号より)

優れた静粛性は特筆もの。快適で印象な走行性能

「あれれ? なんだかこれ、すごぉ〜く良くなってない?」と新型A3に乗って、正直言って驚いた。何を隠そう私はこれまで、「やっぱりアウディはクワトロがいいよね」とばかり、上級グレードのものに限ると思い込んでいました! しかし今回、目から鱗が落ちる体験をさせられてしまったのです。

つまり、試乗したFFの新型A3スポーツバック。これがものすごく良かったのです。どこが良かったのかって?とにもかくにも、全体的なバランスの良さです。間違いなく、ひとクラス上のクルマのように感じられました。

まず驚いたのが、静粛性の高さ。このカテゴリーのクルマで、こんなに静粛性が高いクルマってなかったのではないでしょうか?というくらいに静かでした。最近は、BEVやHEVといった電気モーター搭載車に乗る機会も多いけれど、そうした状況の中においてもすぐさま静かだと思ったのだから、これは相当なレベルだと思うのです。

もちろん今回のA3だって、1Lモデルは48Vマイルドハイブリッド化されています。しかし、あくまでガソリンエンジン主体のマイルドハイブリッドなので、モーターはアシストしてくれるだけとなり、エンジンは基本的に働いている(アイドリングストップ時やコースティング時は停止している)。

しかも搭載されているのは、1L直列3気筒ターボエンジン。これほど静かだとは・・・などと思って、車外でエンジンのアイドリング音を聞いてみました。すると、そこそこの音がしています。つまりこれは、遮音性がしっかりと高い、ということになります。

安全装備、快適装備、コネクティッド装備など、最近のクルマは搭載しなければならない装備がたくさんありますから、ベースの部分はなるべく軽量に作っておくというのが昨今の流れであり、遮音材や制振材などもその前提に含まれます。もちろん快適性を考えたら、たくさん奢ったほうがいいけれども、ボディを軽量化するならあまり採用できないという、痛し痒しのアイテムなのです。

その相反するものを両立させる方法は、クルマをキッチリ作り込むしかないわけで、車両重量1320kgという数値からも、それらを見事にやってのけたということがわかります。このようにボディのベースがしっかりしていれば、その先の足まわりはキッチリと仕事ができる。だからこそ、この乗り味が出せたのでしょう。

画像: A3スポーツバック ファーストエディション。高い静粛性を実感できた。

A3スポーツバック ファーストエディション。高い静粛性を実感できた。

FFモデルのリアサスペンションはトーションビーム式、しかも取材車のファーストエディションは、標準仕様よりもひと回り大きな19インチタイヤ&ホイールが装着されますが、乗り心地と走り味のバランスが実に見事です。きっちりとリアサスペンションが仕事をし、路面を捉えてオウトツを吸収していることを感じ取れます。

あえて細かいことを言えば、48Vマイルドハイブリッドシステムと7速DCT、アイドリングストップのバランスが発進時などにやや崩れることがあり、軽いシフトショックや、微低速でのブレーキング時にわずかな空走フィーリングを感じたりも・・・。でも、それぐらいは目を瞑ってもいいかな?と思えてしまうほど、全体的なバランスが実に素晴らしくて、ちょっとビックリするほどの出来栄えでした。

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