「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、トヨタ ヴィッツだ。

アイドリングストップの出来は最良といえる

画像: オーソドックスなメーター配置とフロアシフトで、シンプルだが操作性&視認性とも高いインパネまわり。カーナビはオプション。

オーソドックスなメーター配置とフロアシフトで、シンプルだが操作性&視認性とも高いインパネまわり。カーナビはオプション。

前席の頭上や足下の余裕は、さほど広くないが、落ち着きのある空間だ。収納スペースも助手席側に多いが多彩だし、買い物アシストシートはかなり便利でオススメ。後席の広さもまずまずだが、前後席ともピラーが頭に近くてやや圧迫感があるが、旧型よりは居住性は向上している。99%UVカットのガラスや快適温熱シートなど、快適装備は充実しており、かっこが良くて居住性も向上したのだからポイントは高いといえるだろう。

走ってみると、新開発の1.3Lエンジンは低速トルクがキッチリ出ていて、CVTが低い回転域を重点的に使う。なので特に高速巡航で燃費は伸びた。加速フィールや静粛性もクラストップレベルにある。加減速の激しい市街地では燃費は伸びにくかったが、これは車両重量やアイドルストップの頻度などによるものだろう。エアコンの温度設定などによって、ヴィッツはエンジンが止まらないこともけっこう多かった。

だが、ワンウエイクラッチを使って再始動のレスポンスと低振動を実現したこのシステムは、現時点でクラス最良の出来と言っていい。ただ、今のところベースモデルの「F」にしか設定されていないのが辛いところ。タコメーターなしのワンメーターで、インテリアもシンプルに徹してしまう。

乗り心地の面は、やや期待外れだった。路面の継ぎ目に敏感なプルプルした乗り心地が少し気になった。とはいえ、街中での運転のしやすさは文句なしだし、全体的な完成度は高く、最新の5ドアハッチバックとしては十分に満足できる1台に仕上がっていた。

画像: 街中での運転のしやすさは文句なし。高速走行でも加速フィールや静かさはクラストップレベルにあるといえる。

街中での運転のしやすさは文句なし。高速走行でも加速フィールや静かさはクラストップレベルにあるといえる。

■トヨタ ヴィッツ 1.3F スマートストップパッケージ 主要諸元

●全長×全幅×全高:3885×1695×1500mm
●ホイールベース:2510mm
●車両重量:1000kg
●エンジン種類:直4 DOHC
●排気量:1329cc
●最高出力:70kW<95ps>/6000rpm
●最大トルク:121Nm<12.3kgm>/4000rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:21.8km/L
●タイヤ:165/70R14
●当時の車両価格(税込):135万円

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