アウディはeトロン/eトロン スポーツバック、eトロンGTに継ぐBEV(電気自動車)第3弾、Q4 eトロンシリーズが公開された。日本市場にマッチするサイズ感のプレミアムSUVで、ヒットを予感させるモデルとなっていた。(Motor Magazine2021年7月号より)

アウディのピュアEV第2弾となるeトロンGT/RS eトロンGT

アウディが、BEVの新モデルを投入した。4ドアクーペのグランツーリスモ、RS eトロンGT/eトロンGTである。これでSUVのeトロンシリーズと合わせて4モデル展開となった。日本での本格的なデリバリーはこの秋からということだが、その前にRS eトロンGTの試乗がクローズドコースで叶った。

まずは概要を紹介する。全長×全幅×全高は4990×1965×1395mm、ホイールベースは2900mm。外観では、4WDモデルを想起させるクワトロブリスターや低くワイドで美しいデザインが視線を釘付けにする。ちなみにCd値は、わずか0.24である。

フロントとリアにそれぞれ電気モーターを搭載した、電動4WDシステムを採用する。これは機械式クワトロの約5倍の速さでトルク配分するという。総出力は598ps/830Nmである。リチウムイオンバッテリーは、モジュールに分割された396セルで構成され、容量84kWh(総容量93kWh)。フロア下に配置し、満充電での航続可能距離はWLTC値で534kmとなる。

低いポジションの運転席に座ると、12.3インチのアウディバーチャルコックピットに加え、MMIタッチディスプレイなどアウディらしさに溢れたインテリアが眼前に広がる。後席は、足もとにバッテリーを配置しないフットガレージと呼ばれるスペースが設けられ、大人も十分くつろげる。

画像: 空気抵抗係数Cd値は0.24、0→100km/h加速は3.3秒という実力の持ち主。ブーストモードは2.5秒間使うことができる。

空気抵抗係数Cd値は0.24、0→100km/h加速は3.3秒という実力の持ち主。ブーストモードは2.5秒間使うことができる。

250km/hの世界でも安心して運転できる

興味深いのは走行音で、しっかりスポーティに演出されていた。法律で規定されている20km/h以下では電子的に合成した人工音を発し、さらにドライブモードに応じてそれが変化する。この独特なサウンドは、実際に聞いて確かめてみることをお勧めする。かなり新鮮な体験となることだろう。

走りは実にダイナミックなものだ。だからと言って乗り心地に不快なところはなくとても快適。これは、電子制御式リアアクスルデファレンシャルロック、3チャンバー式アダプティブエアサスペンション、オールホイールステアリングが効いているのだろう。

パフォーマンスは、実にすばらしい。右足に力を込めた瞬間、驚異的な加速をともない発進する。それはまさに瞬間移動したような速さである。長い直線で床までペダルを踏み込むとリミッターが作動する250km/hまで加速、速度計は257km/hを表示していたが、とても安定していたので恐怖感はなかった。

これならドイツアウトバーンでも、肩が凝らずに移動できそうだ。GTカーとしての実力は相当なものだと感じられた。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:井上雅行)

画像: アウディバーチャルコックピットプラス(12.3インチ)とMMIタッチディスプレイ(10.1インチ)を標準装備する。(RSeトロンGT)

アウディバーチャルコックピットプラス(12.3インチ)とMMIタッチディスプレイ(10.1インチ)を標準装備する。(RSeトロンGT)

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