Q4eトロン/Q4スポーツバックeトロン海外試乗
Q4 eトロンは、ミドルクラスのSUVであるeトロン(&スポーツバック)、そしてラグジュアリースポーツのeトロンGTに次ぐアウディとしては3番目のコンパクトBEVだ。プラットフォームはフォルクスワーゲングループが共有するMEB(モジューラー エレクトリック プラットフォーム)である。
ボディサイズは全長4588×全幅1865×全高1632mm、ホイールベースは2764mmで、先に発表されたフォルクスワーゲンID.4の数値に近い。ただし、エクステリアデザインは大きく異なりID.4がグリルレスでシンプルな顔を持っているのに対して、Q4はダミーながら立派なグリルを持ち、そしてその下方両脇には凝った形状のエアカーテンインテークが並んでいる。
またオプションのマトリックスLEDヘッドライトユニットは横に流れるターンライト(それゆえにアウディではウインカー/点滅灯という表現は死語になっている)と共にハイテクのシンボルとなっている。
一方、スポーツバックはピラーより前が基本的にSUVと同一だが、強く傾斜したリアウインドウ下縁にスポイラーが装備されている。Cd値は0.26とSUVの0.28よりも良好な数字を得ている。もっともこのスポーティなスタイルのおかげでトランク容量は520L〜1490LとSUVと比べると30L減っている。さらにボディサイドにはクワトロプレスラインとトルネードライン、リアエンドはボディ幅いっぱいに伸びたLEDリアコンビライトが後姿を引き締めている。
AI音声コントロールが導入されている最新のOD、MIB-IIIが装備されているインテリアは、これまでのeトロンシリーズとは異なるデザインが見られる。バーチャルコックピットやオプションの11.6インチ(スタンダードは10.1インチ)に拡大されたダッシュボード中央のタッチスクリーンはこれまでと大きく変わらないが、センターコンソールがほぼステアリングホイール下の高さまで浮き上がっている。
このコンソールのポジションと上下がカットされたデザインのステアリングホイールは、おそらく近い将来スタンダード装備になることが予想されるレベル2プラス、半自動ハンズオフドライブを想定したレイアウトだと思う。ともあれエクステリアおよびインテリアを観察した時点で、アウディQ4eトロンはフォルクスワーゲンID.4とは一線を画したプレミアムBEVモデルであることがわかった。
Q4eトロンには「35」、「40」、「50クワトロ」の3種類のグレードが用意されている(35と40は後輪駆動)。ミドルグレードにあたる「40」に搭載される電気モーターは150kW(204ps)/310Nmを発生し、0→100km/h加速は8.5秒、最高速は160km/h、電池は76.6kWh、航続距離534km(WLTP)に達する。
乗り心地はとてもしなやかARナビは情報量が豊富
走り出して印象深かったのはフォルクスワーゲンのID.4とは似て非なる乗り心地のしなやかさだった。ID.4のシャシはスポーティ、正確にはダイレクトでそのぶん、ややゴツゴツした感じを伝えてきたが、Q4は路面からのショックをしっかりと和らげてくれる。
加えてまるで前方をドローンが案内してくれるような豊富な情報量と見やすい映像を示してくれるARナビゲーションのおかげで、異次元のイージーセーフドライブを体験することができた。
このQ4 eトロンは7月からドイツで発売が開始されるが、価格はベースモデルのQ4 eトロンが4万1900ユーロ(約557万円)で、スポーツバックはエクストラとして2000ユーロ(約26万6000円)が要求される。
アウディ本社によれば日本への導入はQ4 40eトロン(SUV&スポーツバック)が考えられており、発売時期は2022年の春になる予定である。(文:アレキサンダー・オーステルン<キムラ・オフィス>/写真:キムラ・オフィス、アウディAG)