アウディはeトロン/eトロン スポーツバック、eトロンGTに継ぐBEV(電気自動車)第3弾、Q4 eトロンシリーズが公開された。日本市場にマッチするサイズ感のプレミアムSUVで、ヒットを予感させるモデルとなっていた。(Motor Magazine2021年7月号より)

加速するアウディの電動化戦略を眺望

アウディは2021年1月に、電動モデルを2025年までに車種に拡大し、そのうち約25モデルを電気自動車(BEV)にすると発表している。まさに電動化戦略を加速させていくことを宣言しているわけだが、その片鱗は日本でも感じ取ることができる。

アウディの電気自動車(BEV)第2弾となる「eトロンGTシリーズ」、第3弾となる「Q4eトロンシリーズ」を紹介してきたが、第1弾の「eトロンシリーズ」も2020年9月に発売されており、この1年でなんと3モデルのBEVを日本に投入している。他メーカーに先駆けての急先鋒で、アウディの電動化戦略の本気度がうかがえる。

そしてこの戦略はさらに加速していく。2021年4月の上海モーターショーでは、新世代のBEVとなるA6eトロン コンセプトを発表した。このモデルはアウディが主導してポルシェと共同開発する「PPE(プレミアム プラットフォーム エレクトリック)」を採用しているのが特徴だ。

2022年後半からは大型セグメントで、その後はミッドサイズセグメントでも、PPEのテクノロジーをベースにしたモデルが発売される予定だ。その商品レンジには、高い車高を特徴とする電動SUVだけでなく、今後登場するA6 eトロンといったダイナミックなスタイルの乗用車も含まれるという。

また、Q4eトロンシリーズのようなコンパクトなモデルには、フォルクスワーゲングループで共用する電動化モジュラープラットフォーム「MEB」を採用。こうしてグループ内で大きさと目的の違う電動車用プラットフォームを効率的に活用することで、アウディはBEVの覇権を狙う。

画像: 2021年上海モーターショーで発表されたこのA6eトロン コンセプト。アウディとポルシェの共同開発による電気自動車の新たなテクノロジー プラットフォーム「プレミアム プラットフォーム エレクトリック(PPE)」をベースとしている。

2021年上海モーターショーで発表されたこのA6eトロン コンセプト。アウディとポルシェの共同開発による電気自動車の新たなテクノロジー プラットフォーム「プレミアム プラットフォーム エレクトリック(PPE)」をベースとしている。

アウディPHEVの日本導入にも期待

アウディはBEVに力を注ぐ一方、電動車としてはプラグインハイブリッド(PHEV)も多く発売している。日本ではなじみがないかもしれないが、欧州ではすでにA6、A7スポーツバック、A8、Q7、Q8にPHEVを設定している。

また、新型A3スポーツバックに続いて、新型Q3/Q3スポーツバック、マイナーチェンジ後のQ5にもPHEVをラインナップしており、現在もその数を拡大している。これらのPHEVモデルのパワートレーンは1.4Lターボ/2L直4ターボ/3L V6ターボエンジンにモーターを組み合わせ、「TFSI e」というグレード名を付けている。いずれも日本への導入は未定だが、BEVへのステップの前にPHEV需要が高まることも考えられるので、期待はできそうだ。

アウディの電動化戦略の一端を担うモデルの中には、「マイルドハイブリッド車(MHEV)」が含まれる。いや、含まれるというよりも、日本導入モデルの中では、MHEVがメインになってきているといってもいいぐらいだ。

2021年4月に発表されたA3シリーズにも48Vリチウムイオンバッテリーを用いたマイルドハイブリッド ドライブシステムを搭載するほか、マイナーチェンジを受けたA4シリーズとA5シリーズやQ5、そして追加型のA6シリーズとA7スポーツバックには12Vのマイルドハイブリッド ドライブシステムを採用。動力性能と燃費性能の向上が望めるMHEVはまだまだ活躍の余地がありそうだ。

このような電動化戦略を進めながら、スポーツモデルの開発にも力を注いでいる。中でも「RS」モデルは新型車がこの1年で続々投入されている。ニューモデルでは、R3 Q3とRS Q8が2020年秋に登場。また、ほぼ同時期にRS4アバント、RS5クーペ/スポーツバック、TT RSクーペを一部改良したほか、RS6アバントとRS7スポーツバックを新設定するなど、一気にRSモデルが進化を果たした。

こうしたアウディスポーツのブランドをブラッシュアップすることも怠らない姿勢もお見事だ。(文:Motor Magazine編集部 加藤英昭/写真:アウディAG/永元秀和)

画像: 第四世代となったA3/S3シリーズ(右:S3)。A3 30TFSIは48VのMHEVを組み合わせた1.0TFSIエンジンを搭載(110ps/200Nm)。スポーツバージョンのS3はチューニングされた2.0TFSI(310ps/400Nm)を搭載。

第四世代となったA3/S3シリーズ(右:S3)。A3 30TFSIは48VのMHEVを組み合わせた1.0TFSIエンジンを搭載(110ps/200Nm)。スポーツバージョンのS3はチューニングされた2.0TFSI(310ps/400Nm)を搭載。

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