コンパクトで軽量な初代ロードスターは、ライトウエイトスポーツカーのお手本のようなクルマだ。本来直列4気筒を収めるこのボディに、3L V6エンジンを搭載するとどうなるのか? これを実現したモンスターロードスターを紹介しよう。

心奪われた「純正エンジンより軽く、100ps以上パワーアップ」のセールストーク

今回紹介するフルチューンのロードスターは、宮城県仙台市でロードスターのプロショップ「ケンオート」が製作。代表を務める小原さんは、スーパー耐久をはじめ、公式レースで活躍するドライバーとしての顔も持つ。それだけにバランスを無視したチューニングは自らのスタイルじゃないと考え、ロードスターの大排気量エンジン換装にも興味を示さなかった。しかし、海外のイベントを訪れた時にエンジンをスワップしたロードスターに心を奪われた。

そのクルマのエンジンには、「AJ」と呼ばれるジャガーの3LのV6エンジンが搭載されていた。最高出力は243ps、最大トルクは31kgmを発生。NA型ロードスターに搭載されていた1.6LのB6型(120ps/14kgm)や1.8LのBP-ZE型(130ps/16kgm)と比較すると2倍近い数値。比べモノにならないほど力強い。

しかし、小原さんを虜にしたのは出力とトルクだけじゃなかった。なんと1.8L 直4のBP-ZE型エンジンよりも、3L V6のAJ型エンジンの方が5kgも軽いというセールストークだったのだ。載せ替えに必要なパーツはキット化され、しかも日本国内におけるAJ型中古エンジンの流通量もそこそこある。その場でメーカーと交渉し日本への輸入を決意。

帰国してからは、キットパーツの到着を首を長くして待っていた。しかし、そこは海外メーカー、納期は大幅に遅れ、実際に届いたキットにはボルトオンで装着できないパーツも多数含まれていた。さらにエンジン重量を実測してみると、実際にはBP-ZEとほぼ同じだったことも判明・・・。

だが、そうした部分を差し引いても、大いに魅力的なメニューであることに変わりはない。そこからコツコツと地道な作業を重ね、1年を軽く超える年月をかけて、ついにエンジンの載せ替えが完了。公認車検も取得して、とうとう公道を走れる状態までこぎ着けた。日本では新たに「FC」という原動機の型式を与えられた。

画像: 違和感なく搭載されたエンジン。換装キットにはクロスメンバーにマウント類、排気系パ ーツやECUもすべて含まれている。なお現時点ではエアコンレス仕様だが、キットを開発したメーカーはエアコン付きも視野に入れており、今後のリリースを期待したい。

違和感なく搭載されたエンジン。換装キットにはクロスメンバーにマウント類、排気系パ ーツやECUもすべて含まれている。なお現時点ではエアコンレス仕様だが、キットを開発したメーカーはエアコン付きも視野に入れており、今後のリリースを期待したい。

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