2009年1月、レクサスブランドのSUV「レクサス RX」がお膝元の日本でデビューした。2008年11月にアメリカのロサンゼルスショーでお披露目されたレクサスRXは「3代目」だが、日本ではこれが初登場だった。日本ではそれまで「2代目トヨタ ハリアー」として人気を集めていたオールラウンドSUVが、フルモデルチェンジを機にレクサスRXへと進化を遂げたとされたが、実際にはこの後もハリアーの販売は継続して行われ、国内では「レクサスRX」と「トヨタ ハリアー」は別モデルとして共に人気モデルとなっていく。ここではレクサス RXの日本デビューまもなく行われた国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年4月号より)

ナビやオーディオを一元的に操作するリモートタッチを搭載

試乗車のエアサスペンション仕様を目の前にする。RXは2代目ハリアーと比較して、全長が35mm、全幅が40mm、全高が10mm大きくなっている。

勝田隆之チーフエンジニアに聞くと、このサイズの拡大は、クルマ全体のグレードアップとともに、これまでよりも安定した走りを得ることを目標にしたためだそうだ。具体的にはトレッドが前55mm、後65mm広げられリアサスペンションをストラットからダブルウイッシュボーンに変更したのも、安定した走りのためだという。

その走りを確かめるため、さっそく高速道路へと向かう。速度を上げてみるが、その走りはドッシリとしたもので、確かに安定感を増している。さらに、ハリアーとの違いを感じたのがハンドルの重さ。ハリアーのハンドルは、高速道路では軽すぎるという印象があったのだが、RXのそれには適度な重さがあり、速度域にかかわらず、安定して走らせることができた。

また、ハリアーでも十分小さいと思っていた風切り音も、さらに低減されている。これはドアミラーの位置がAピラーの付け根から、ドアパネルの上部から生える形に改良されたためだ。

高速を降りて交差点での左折時に効いたのが、Aピラーに初代以来復活した三角窓。運転席側は角度の関係で右折時の効果が薄いが、それでもないよりは安心感は高い。

インテリアでの注目点は、やはりセンターコンソール上に設置された「リモートタッチ」だろう。プレミアムブランドのライバル、BMWやメルセデス・ベンツには、それぞれiDriveやCOMANDシステムといった、ナビや空調などを一元的にコントロールできるユニットがすでに多数のモデルに搭載されている。こうしたユニットがついにレクサスにも搭載されたのだ。

リモートタッチ開発チームの佐野博丈主幹によると、ナビ画面を見る時の安全を保つためには視線の移動を少なくすることが大切と考え、その結果、まずモニターの位置をインパネの最上段に決めたという。しかし、ここに設置するとシートに座った状態でタッチパネルに手が届かず、操作ができない。そこで生まれたのがリモートタッチというわけだ。

画像: 細部までの作り込みの高さが感じられるインパネ。

細部までの作り込みの高さが感じられるインパネ。

他ブランドのコントローラーがダイヤル式であるのに対し、リモートタッチは先端のノブを上下左右方向に動かして、画面上のポインタを移動させる。直感的に使えるタッチパネル式の使用感を残すためでもあるそうだ。

アイコンにポインタを近づけると、ちょうどアイコンのまわりがヘコんでいるかのような反応が、ノブを通して感じられ、簡単に任意のアイコンを選択できる。これによって走行中も安全に操作できるというわけだ。

RXの安定感の高い走りやリモートタッチの搭載などを体感すると、ハリアーからの乗り換えでも、その価格差は十分納得できるものだと感じられた。実際にRXの1月19日から1カ月の受注台数は、RX450hも含めて2500台だという。レクサスの販売台数を引っ張る人気モデルとなりそうだ。(文:Motor Magazine編集部/写真:原田 淳)

レクサス RX350 バージョンL エアサスペンション 主要諸元

●全長×全幅×全高:4770×1885×1690mm
●ホイールベース:2740mm
●車両重量:1980kg
●エンジン:V6 DOHC
●排気量:3456cc
●最高出力:206kW(280ps)/6200rpm
●最大トルク:348Nm/4700rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・72L
●10・15モード燃費:9.4km/L
●タイヤサイズ:235/60R18
●車両価格:565万円(2009年当時)

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