フラッグシップSUVでは3列目シートの快適性も重要となる
ブームからカテゴリーのひとつになり、いまやこれじゃないと売れないとまで言われるくらいに成長したカテゴリーとなったSUV。だが、もともとはトラックのようなものからの派生で、クロカン4駆だのオフローダーだの呼ばれていた頃は、後部座席の乗り心地なんて、評価できるものではなかった。あればいい、というものだったのである。
というのも、クロカン4駆やオフローダーというクルマは、とにもかくにもどんなところでも、つまり道なき道でも走ることができる走破性こそが重要だった。そうした場所でそれは「生き残れるか」という、生死にかかわる問題になるのだから、当たり前のこと。快適かどうかを評価するのは、まだまだ先の話で、乗れて、積めればOKだったのだ。
ところが、その先は、意外と早くやって来たと言えるだろう。少なくとも私が子供の頃は、ファミリーカーと言えばセダンがその代表だったのだが、大人になった頃には、すっかりミニバンがその座に座っていた。
さて、日本の場合、ミニバンと言えば3列目のシートを持っているというのが、定義のひとつになっており、そこで初めて「3列目シートは座れるのか」「3列目へのアクセスは」「3列目シートの快適性は」という話題が出てきたように思う。
もちろん、それまでも3列目シートがついているクルマがなかったわけではないが、進行方向に対して後ろ向きだったり、横向きだったり、とにもかくにもオマケ的な存在だった。2+2の後部座席、あるいはそれ以下の感じで、乗る側にしても、その場所が当選(!)した時点であきらめの境地である。もはやアトラクションに近い存在が、3列目のシートという存在だったと記憶している。
このような時代を経て市民権を獲得してきた3列目シートだが、ミニバンの場合はボディ形状が四角い箱型だからして、まだスペースは確保しやすい。しかしこれがSUVとなるとボディ形状が、3列目シートのあたりは上からも横からも絞り込まれてくるので、まず空間を確保するだけでも大変なのである。